09:35 ~ 10:00 | ブラキシズムを伴う広汎型慢性歯周炎に包括的治療を行なった一症例 【伊藤準/福島県勤務】 |
10:00 ~ 10:25 | 根面被覆術におけるフラップ弁の位置付け 【丹治栄展/福島県開業】 |
10:25 ~ 10:50 | 狭小な支持骨の歯を有する広汎型慢性歯周炎患者に対して包括的治療を行った一症例 【杉山豊/宮城県開業】 |
11:00 ~ 16:00 | 補綴治療と歯周病・気道との関わり 【今井俊広/鳥取県開業】 【今井真弓/中国四国支部】 |
Ⅰ.はじめに
歯周組織の破壊を増悪する因子としてブラキシズムがある.ブラキシズムを伴う歯周炎の治療には,炎症のコントロールだけでなく,歯周組織に外傷性因子が作用しないように配慮しなければならない.今回,ブラキシズムにより歯周炎が増悪したと考えられる患者に歯周治療およびインプラント治療を行なったので報告する.
Ⅱ.症例の概要
患者:58歳,男性. 初診:2018年5月
主訴:左下の被せ物が外れた,右上の被せ物がこわれ咬んだ時に違和感がある,左上がしみる,左顎の音がなる.
全身的既往歴:特記事項なし
歯科的既往歴:2年前まで被せ物や虫歯の治療で通院
診査所見:PCR:76.04%,PPD4mm以上:84.03%,BOP(+):56.25%.全顎的に咬耗,補綴物の不適,前歯部歯間離開を認めた.X線所見から,17,27,24,46に垂直性骨吸収,全顎的に歯根膜腔の拡大を認めた.
Ⅲ.診断名
広汎型慢性歯周炎(ステージⅣグレードB)
Ⅳ.治療計画
①歯周基本治療/②再評価/③歯周外科処置/④再評価/⑤口腔機能回復処置/⑥SPT
Ⅴ.治療経過
歯周基本治療は,TBI,SC,RP,咬合調整(斬間義歯,テンポラリークラウン),禁煙の指導を行い,保存不可能な17,27,46の抜歯を行なった.再評価後,歯周外科処置とインプラントの埋入処置を並行して行なった.歯周外科処置は24にトラフェルミンを使用した再生療法を行なった.再評価後にプロビジョナルレストレーションによる咬合,顎機能の状態を確認し最終補綴を装着した.また,治療期間中はナイトガードを着用し,SPT移行後も使用を継続している.
Ⅵ.まとめおよび考察
本症例は,ブラキシズムにより咬合高径が低下し,全顎的に歯周炎が進行したと考えられる.歯周治療,インプラント治療および補綴治療によりバーティカルストップを確立し,臼歯部をディスクルージョンするようガイドを付与,ナイトガードを使用してブラキシズムに対する力のコントロールを行った.今後も定期的にメインテナンスを行い咬合の確認をすることが必要である.
2001年 鶴見大学歯学部歯学科卒業
2005年 たんじデンタルクリニック設立
2021年 日本臨床歯周病学会認定医取得
1、諸言
日本人の歯肉退縮の有病率は76%と非常に高い. 実際に日々の臨床の現場で目にしない日はないと言っていいだろう. 歯肉退縮は炎症性と非炎症性とに大別されるが, これはプラークコントロールが悪い患者にも良好な患者にも起こりうる疾患であることを意味している. この事も患者数の多さに関連があるだろう. 歯肉退縮への対応法は種々存在するが, その中の一つとして根面被覆術は実施頻度, 効果, 共に高いものと思われる. ひと口に根面被覆術といっても複数の種類が存在し, その選択には苦慮する事も多い. 切開, 剥離, 縫合をそれぞれどの方法を用いるかで術式名が決定する. 今回は縫合の段階においてフラップ弁の位置を考慮した症例を報告する.
2、症例
患者:72歳女性 主訴:歯がしみる
全身的既往歴:特記事項なし
歯科的既往歴:9年前より当院にて歯周治療, 補綴治療を含む全顎的な歯科治療を行い, メインテナンスを継続している.
口腔内所見:一部深いポケットが存在するものの, PCRも安定しており急性所見などは認めない. 42,43には以前より歯肉退縮を確認していたが, 症状もなく患者も治療を望まなかったので, 経過観察を継続していた. 今回のメインテナンス時に「歯がしみる」との訴えがあった.
3、診断
42, 43歯肉退縮 Millerの分類class3 Cairoの分類RT3
4,治療経過
メインテナンス中でありPCRも不良とは言えないが, 不適切及び過度のブラッシングをしている可能性があったため, 再度口腔衛生指導を行った.
その後に口蓋から採取した結合組織を用いた歯肉弁歯冠側移動による根面被覆術を行った. 術後もメインテナンスを継続し, 治療結果も良好に推移している.
5、考察
根面被覆術を行う際の歯肉弁歯冠側移動は, フラップ弁の位置付けをどの位置に設定するのかによって, 結果が大きく左右される. 根面被覆術は, 術式の選択, 既存歯肉の厚み, 移植する結合組織の質と量など考えるべき事項が多いが, その中でもフラップ弁の位置付けは重要ではないかと考えている.
1988年 岩手医科大学歯学部卒業
岩手医科大学歯学部歯科補綴学第1講座入局
1993年 杉山歯科医院勤務
2000年 日本臨床歯周病学会入会
2006年 東北大学歯学部大学院卒業
現在に至る
【はじめに】狭小な支持骨の歯を有する広汎型慢性歯周炎患者に対して,大臼歯部にインプラントを埋入後M.T.M.を行いプロビジョナル・レストレーションにて経過観察,反対側はスプリット・クレストを用いたインプラント埋入を行った.適切な臼歯離開獲得のため,矯正治療によるV字型歯列弓の改善ならびに咬合平面の修正,適切なガイドの付与により左側方運動が可能になり,良好な予後が得られたので報告する.
【初診】2012年11月
【患者】54歳・女性
【主訴】しっかりと噛めるようにインプラントで治してほしい,前歯のかぶりが欲しい.
【現病歴】歯周治療を中心に治療をしていたが,インプラント治療を希望されたので通院していた歯科医院より紹介され来院.
【診査・検査所見】PSは12%と良好だが,B.O.P.陽性率40%,4mm以上のポケット29%であった.左下5番は支持骨が狭小で極度の近心傾斜を呈していた.また右下臼歯欠損部歯槽頂の骨幅は3mm弱であった.さらに、下顎を左側に動かすことが不可能であった.
【診断】広汎型慢性歯周炎ステージⅡグレードA、下顎臼歯部欠損
【治療計画】1)歯周基本治療 2)再評価 3)インプラント埋入,プロビジョナル・レストレーション 4)矯正治療 5)再評価 6)口腔機能回復治療 7)再評価 8)メインテナンス
【考察・まとめ】狭小な支持骨の傾斜歯に対して遠心にインプラントを埋入後M.T.M.を行いプロビジョナル・レストレーションにて咬合機能を付与し、経過を観察した.狭小な顎提に対してスプリット・クレストを伴うインプラント埋入により咬合支持を獲得できた.さらに咬合治療により不能であった左側方運動も可能となった。プラーク・コントロールは安定しているので分岐部病変を有する右下7番を中心にメインテナンスで経過を追っていきたい。
1979年 東北歯科大学(現・奥羽大学歯学部)卒業
1979年 原宿デンタルオフィス勤務
山崎長郎先生に師事
1984年 米国L.A.にてRaymond.L.Kim先生に師事
その間 University of Southen California
にて卒後研修コース受講
1987年 鳥取県米子市にて今井歯科クリニック開業
現在に至る
東京SJCD会員
日本臨床歯科医学会指導医
SJCD研修コースインストラクター
日本顎咬合学会会員、指導医
硬組織再生生物学会会員
書籍
臨床咬合補綴治療の理論と実践
臨床咬合補綴治療
さわる咬合さわらない咬合
新版 臨床咬合補綴治療
実践!「効果のあがる」スプリント治療の進め方
1979年 東北歯科大学(現・奥羽大学歯学部)卒業
1979年 原宿デンタルオフィス勤務
山崎長郎先生に師事
1984年 米国L.A.にてRaymond.L.Kim先生に師事
その間 University of Southen California
にて卒後研修コース受講
1987年 鳥取県米子市にて今井歯科クリニック開業
現在に至る
東京SJCD会員
日本臨床歯科医学会指導医
SJCD研修コースインストラクター
日本顎咬合学会会員
書籍
臨床咬合補綴治療の理論と実践
臨床咬合補綴治療
さわる咬合さわらない咬合
新版 臨床咬合補綴治療
実践!「効果のあがる」スプリント治療の進め方
現在はペリオのコントロールがされていない歯の補綴治療は長期健康維持は困難、ということは周知となっています。Perio-Prosthodontics、私共が歯科医になった40年前は、日本ではまだペリオと補綴治療の連携は重要視されていませんでした。
健全な歯であれば、ピーナッツをカリカリ噛み砕くことができます。それを口腔外、例えばまな板の上にピーナッツを置いて飲み込める位の状態まで粉砕しようとしたら、金槌が必要かもしれませんし、腕の筋肉もけっこう使うでしょう。かなりの力であることがわかります。歯と歯は容易に粉砕していますが、そのためには顎口腔系で咀嚼筋と顎関節が健全に連動し動き、歯周組織が歯を支えることが出来る状態であることでなされています。動くことで機能し、力が生じますが、咀嚼は生命維持に必要な荷重ですから、正常な組織では耐久可能なはずです。そしてまた、生理的で適正な荷重は、生体はそれなりに必要ともされています。
適性な荷重を越えた力が加われば、生体には負荷(バイオメカニカルストレス)となり、顎口腔系の組織が破壊される可能性があります。メカニカルストレスにより顎関節、咀嚼筋に影響したり、歯が欠けたり、歯周組織に影響したり・・・と。しかし、この力(咬合)と歯周組織への影響に関しては、グローバルに見ても長く咬合による歯周組織への影響否定論の方が多いことは認識しています。
私共は、一般臨床家(GP)です。歯周病の専門医ではありませんが、歯周病は日々の臨床で切り離すことが出来ません。また、クラウンの調整にしても咬合とも関わっています。GPは顎口腔系の様々な組織全般に関わらざるおえないのです。
歯周病と咬合について、40年を越えた臨床医としての経験から話させていただきたい思っています。
10:45 ~ 12:30 | (1/3)歯周治療と歩んできた歯科医師33年生 -歯肉剝離搔爬術、Emdogain®そしてインプラント治療の見解- 【木村英隆/九州支部 医療法人木村歯科】 |
13:00 ~ 14:00 | (2/3)歯周治療と歩んできた歯科医師33年生 -歯肉剝離搔爬術、Emdogain®そしてインプラント治療の見解- |
14:00 ~ 15:00 | (3/3)歯周治療と歩んできた歯科医師33年生 -歯肉剝離搔爬術、Emdogain®そしてインプラント治療の見解- |
【略歴】
1990年3月 九州大学歯学部 卒業
1990年4月 船越歯科歯周病研究所 (―1999年1月)
1999年2月 木村歯科歯周研究所 開業
2011年3月 医療法人木村歯科 法人成り
【所属学会・指導機関】
九州大学歯学部臨床教授、日本歯周病学会理事・歯周病専門医・指導医
日本臨床歯周病学会副理事長・指導医・歯周インプラント指導医、日本顎咬合学会認定医
ITI Fellow、九州大学歯学部歯科医師臨床研修指導歯科医、船越歯周病学研修会インストラクター
木村歯科歯周治療研修会 主宰
歯周治療は原因となるデンタルプラークおよび歯石等の炎症性因子の除去に始まりますが、診査・診断を基に歯周基本治療・歯周外科手術・メインテナンスの流れに沿って進められます。歯周基本治療では原因除去を主とした“機械的アプローチ” とりわけスケーリング・ルートプレーニングが基本となります。歯肉炎または軽度歯周炎では歯周基本治療で十分に治癒しますが、深い歯周ポケットを呈する中程度歯周炎以上では歯周基本治療のみでは病態の治癒は困難となります。歯周基本治療後の再評価でプロービング深さが4mm以上は“歯肉剝離掻爬術”の適応症です。さて皆さんは4mm以上の歯周ポケットに対してどのように対応しているでしょうか。何らかの歯周外科手術をしていますか? 現状はほとんどの場合、メインテナンスに移行しているのでないでしょうか。ある日気が付けば骨吸収がさらに悪化していたという経験はありませんか?
歯周治療の理想的な目標は、失われた歯周組織を再生することです。すなわち再生療法によって歯周ポケットを減少し歯槽骨を再生することです。再生療法は、1960年代初頭から現在に至るまでの半世紀の間に目覚しい進歩を遂げ、長い歴史的変遷の中でその概念および術式は確立され、歯周治療には欠かせない手技となりました。またインプラント治療も咬合機能を再構築するための必須オプションになっています。高い予知性に裏付けられたインプラント治療は全顎無歯顎患者はもちろん、天然歯が混在する部分欠損および単独歯欠損にまで適応されるようになりました。欠損部分の歯槽骨量は様々ですが、インプラントを埋入するためには歯槽骨の十分な幅と深さが必要です。安心安全なインプラント治療のためは十分な歯槽骨を再生することが大切です。
そこで今回、日々の臨床で遭遇する歯周病罹患者に対し、歯周治療の流れを理解し歯周外科手術、再生療法そしてインプラント治療を行うための見解および手技について解説したいと思います。
10:10 ~ 10:40 | 認定歯科衛生士取得セミナー 【千葉直子 指導衛生士/東北支部】 |
10:40 ~ 11:10 | 会員発表1 【森 みな美 歯科衛生士/東北支部 永田歯科医院】 |
11:10 ~ 11:40 | 会員発表2 【田村 藍里 歯科衛生士/東北支部 くにみ野さいとう歯科】 |
認定歯科衛生士取得セミナーはこれから日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士を取得予定の衛生士向けの講演会となります。参加資格は東北支部所属歯科衛生士のみとなります。認定歯科衛生士を目指しているならば、ぜひご参加してください。合格のポイントと質疑応答の対策など、具体的に説明いたします。今回の研修会でケースプレゼンテーションをされると、認定資料提出の症例数が減ります。本来5症例提出のところ、2症例免除の3症例提出になります。認定試験時には必ずプレゼンテーションをしなくてはなりませんので、本番の練習も兼ねて発表することをお勧めいたします。アドバイスが欲しい方もご相談ください。
未定
未定
10:00 ~ 10:30 | 認定歯科衛生士取得セミナー 【千葉直子 指導衛生士/東北支部】 |
認定歯科衛生士取得セミナーはこれから日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士を取得予定の衛生士向けの講演会となります。認定歯科衛生士を目指しているならば、ぜひご参加してください。合格のポイントと質疑応答の対策など、具体的に説明いたします。