※現地開催のみで、オンライン(ライブ配信、オンデマンド配信)開催はございません。
09:05 ~ 09:17 | 新規イムノクロマト装置による歯肉縁下プラーク中の Porphyromonas gingivalisの検出と臨床パラメーターとの関係 【山中理映子/九州歯科大学】 |
09:17 ~ 09:29 | rM180アメロジェニンの同種皮膚移植における免疫抑制効果の検証. 【信太実有/九州大学】 |
09:29 ~ 09:41 | 塩基性線維芽細胞増殖因子はラット歯肉創傷治癒における上皮化と歯肉の厚みの増加を促進する 【丸尾直樹/福岡歯科大学】 |
11:25 ~ 11:37 | 長崎県五島市住民を対象としたFunctional Tooth UnitとヘモグロビンA1c値の関連についての横断的研究 【大平真之/長崎大学】 |
11:37 ~ 11:49 | Fusobacterium nucleatumと 血清型b型Aggregatibacter actinomycetemcomitansが共凝集するメカニズム 【田中友三佳/鹿児島大学】 |
10:00 ~ 10:12 | 上顎犬歯に対し根面被覆を行った一症例 【松木良介/まつき歯科医院】 |
10:12 ~ 10:24 | 広汎型慢性歯周炎ステージⅢグレードB患者に対し歯周外 科後歯周補綴を行った一症例 【三宅大策/三宅歯科医院】 |
10:24 ~ 10:36 | 臨床例から保存不可能な抜歯基準を再考する 【添島正和/医療法人社団平和会添島歯科クリニック】 |
10:55 ~ 11:07 | 歯周組織再生療法,自家歯牙移植,矯正治療によって治療 を行った歯周病患者の1例 【脇田祐輔/医療法人衡歯会わきた歯科クリニック】 |
11:07 ~ 11:19 | 歯周組織再生療法及び自家歯牙移植を行うことでパーシャ ルデンチャーを回避し,ブリッジ補綴が可能となった一症 【深水瑠美/医療法人水上歯科クリニック】 |
09:10 ~ 09:22 | 歯科治療に消極的な広汎型重度歯周炎患者に歯周組織の安定を得るために歯科衛生 士として取り組んだ一症例 【脇田裕子/医療法人衡歯会わきた歯科医院】 |
09:22 ~ 09:34 | OHIを通じて信頼関係を構築しSPTの継続に繋がった広汎型重度慢性歯周炎の一症例 【佐藤果歩/医療法人市原歯科】 |
09:34 ~ 09:46 | 歯周基本治療において超音波スケーラーを用いて治療効果が得られた1症例 【小島夕季/医療法人木村歯科】 |
09:46 ~ 09:58 | リスクファクターを考慮した歯周治療により生活習慣の改善に繋がった広汎型慢性歯周炎 の一症例 【市尾穂波/医療法人Yumi Dental Office】 |
09:58 ~ 10:10 | 包括的治療を行った広汎型慢性歯周炎の24年経過症例 【志柿洋美/医療法人社団平和会添島歯科クリニック】 |
10:30 ~ 11:50 | 歯周治療の要点〜歯周基本治療から患者コミュニケーションまで〜 【高尾康祐/高尾歯科医院 院長】 |
13:20 ~ 14:30 | 新時代の歯周治療 NEW DESIGNED PERIODONTAL THERAPY ブルーラジカルP-01&ペリミル 【菅野太郎/東北大学大学院歯学研究科先端フリーラジカル制御学共同研究講座 教授】 |
14:50 ~ 16:00 | 歯周治療の中長期予後について 【松井徳雄/医療法人貴和会】 |
2021年3月 朝日大学歯学部歯学科 卒業
2022年4月 九州歯科大学大学院歯周病学分野 博士課程 入学
2021年3月 九州大学歯学部卒業
2021年4月~2022年3月 九州大学病院にて研修
2022年4月 九州大学歯学府入学 現在に至る
2016年 福岡歯科大学 口腔治療学講座 歯周病学分野 大学院卒業
2017年 白石歯科歯周再生クリニック 勤務
2018年 せと歯科医院 勤務
2021年 福岡歯科大学 口腔治療学講座 歯周病学分野 助教
2020年 鹿児島大学歯学部 卒業
2021年 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 歯周病学分野 入学
2007年 九州大学歯学部卒業
船越歯科歯周病研究所
2019年 船越歯科歯周病研究所退職
高尾歯科医院開業
日本歯周病学会歯周病専門医、日本臨床歯周病学会会員、ITI認定インプラントスペシャリスト、アメリカ歯周病学会会員、ITIメンバー
日本人の歯の喪失理由において最も高い割合を占める歯周病は、今日では国民の約8割が罹患する
国民病として周知されつつある。反面、歯周病はう蝕などとは異なり、痛みなどの具体的な症状に乏しいため、患者個々のレベルではなかなか自覚されていないのも事実である。厚生労働省の実施した歯科疾患実態調査によれば、20代から30代では3割、40代から50代前半では4割、そして50代後半以後では5割を超える割合で、歯周ポケット4から6mmが検出されている。この現状を鑑みて福岡市行政は、『歯周疾患を早期発見し早期治療に結びつけるとともに、歯周疾患の予防を図るために、25歳、30歳、35歳、40歳、50歳、60歳、70歳の福岡市市民を対象にむし歯・歯周病の検査を行っていく。』として歯科節目検診をスタートさせている。地域医療の現場にあって、私たち歯科医院は患者個々の歯周疾患の早期発見、早期治療により患者の将来的なQOLを守る大切な役割を担っていると言っても過言ではない。自覚症状に乏しい歯周病を正しく患者に理解していただき、患者自身で積極的に歯周治療に参加していただくためには、私たち自身が、歯周疾患に対する正しい知識の引き出しを持っていなければならないのではないだろうか。そこで今回、歯周病についての基本的な要点を整理するとともに、どのようにしてその知識を患者に伝え理解していただくべきか、そのコミュニケーションについても考察させていただく。
6mm以上の重度歯周病罹患歯を有する人間がこの国には1,100万人存在している(令和4年歯科疾患実態調査と人口推計から算出)。我が国には約68,000件の歯科インフラがあり、そして、世界でも類を見ない1億人を超える国民が国民皆保険制度で歯科医療を受診できる環境であるのに。
多くの歯科医師やデンタルスタッフが歯周病と対峙して、この克服に向けて努力を続けた結果が現在の状況である。今行っていることで“今”があるとするなら、更にいい結果を求めるのであれば、“新しい何か”を導入しなければ、“今”からの脱却は困難と考えている。
歯周病の原因は何であるのか?従来は“プラークの堆積”を原因とし、その除去にフォーカスされた治療が行われてきた。しかしながら、1996年に発刊された“補綴”の教科書には、プラークが堆積するにも原因があると書かれている。その原因とは“Neglect(怠慢・放置・興味がなくなること)”であり、歯周病は“口の中に興味がなくなること”から始まるものであると記されている。
私たちのチームは、ここに今後の歯周治療の未来があるのではないか?と考え、研究開発と社会実装を行ってきた。今回の講演タイトルである“新時代の歯周治療”とは、従来の“歯に対するアプローチ”として治験を経て我が国で承認を得た新規非外科的歯周病治療器「ブルーラジカル P-01」と、Neglectからの脱却を目的に“人へのアプローチ”として患者行動変容アプリ「ペリミル」を連携させて重度歯周病患者をマネジメントするものである。本当に小さな一歩であるが、歯周病の本当の原因に対してアプローチしながら、重度歯周病罹患歯数を我が国から減少させることを目的とした活動なのである。
歯科医療のゴールとは何か?という最もコアな問いに対して、私たちはその答えを“歯をきれいに保たずには居られない人を作ること”と考えている。そして、私たちの活動は、世界中に“歯をきれいに保たずには居られない人”を量産することに他ならない。
本講演では、“ラジカル殺菌”という今最もデンタルプラーク内の殺菌が効果的に行える殺菌法を搭載した“薬剤併用超音波歯周用スケーラー”「ブルーラジカル P-01」と「ペリミル」の開発経緯・概要・プロトコールを説明するともに、何故補綴医のチームが新しい非外科処置の治療器を作ったのか?補綴医は非外科処置をどのようなものとして認識しているのか?この点の理解を目的としたい。また、特に臨床医の先生方におかれましては、私の講演よりも、実際に触っていただくことが最速・最大の理解につながると考えるので、会場には「ブルーラジカルP-01」と「ペリミル」の実機を展示する。是非とも会場に足を運んでいただき、東北大学から発信される新しい治療器を“体験”していただければ幸いである。
1991年 大阪大学歯学部 卒業
同年 医療法人貴和会歯科診療勤務
小野善弘、中村公雄両氏に師事
現在 医療法人貴和会 理事
所属/役職
一般社団法人JIADS 理事長
日本臨床歯周病学会 副理事長、指導医、認定医
アメリカ歯周病学会(AAP) 会員
日本歯周病学会 会員
日本口腔インプラント学会 会員
Osseointegration of Japan 常任理事
歯科疾患にはカリエス、歯周病、歯牙破折、根尖病変、外傷など多岐にわたる病変があり、その結果、歯および歯周囲組織はさまざまな状態に変化する。歯周病は「骨」が喪失する硬組織疾患で、来院される成人患者には歯周病に罹患し、咬合状態も不安定なことも多く、その対応に苦慮することも少なくない。
歯周治療において非外科療法は大切で、特にスケーリング・ルートプレーニングは炎症のコントロールの根幹をなすものであるが、臼歯部や深い歯周ポケット、根分岐部病変が存在する部位ではアクセスが困難となり、非外科療法では歯石除去の限界がある。
また垂直性骨欠損や根分岐部病変が認められる部位では、清掃性が悪くなり歯周組織の安定を図ることは難しく、これらの改善の多くは歯周外科処置のオプションが求められる。歯周外科処置にもさまざまな目的があり、その目的に応じた術式が存在する。正しい術式を選択しなければ同じ外科処置を行ってもその効果は最大限得られず、術式の利点、欠点を理解することが重要である。歯周治療においては非外科、外科どちらを優先するかではなく、両方の治療オプションを持ち、どちらが長期的安定を望めるか患者の希望も加味しながら治療方法の選択を行うことが大切である。
今回は歯周治療の中長期予後についてについて皆様と考えてみたい。
※現地開催のみで、オンライン(ライブ配信、オンデマンド配信)開催はございません。
10:00 ~ 16:00 | ハンズオンセミナー 【有村知子/JACP九州支部指導歯科衛生士】 【手島尚美/JACP九州支部指導歯科衛生士】 【村上祥子/JACP九州支部指導歯科衛生士】 【延田万里/JACP九州支部指導歯科衛生士】 【延田つぼみ/JACP九州支部指導歯科衛生士】 【下田裕子/JACP九州支部指導歯科衛生士】 |
11:50 ~ 12:50 | 21世紀に求められている歯周治療とは?① 【大月基弘/DUOデンタルクリニック】 |
13:50 ~ 14:30 | 21世紀に求められている歯周治療とは?② 【大月基弘/DUOデンタルクリニック】 |
14:50 ~ 15:40 | 21世紀に求められている歯周治療とは?③ 【大月基弘/DUOデンタルクリニック】 |
09:05 ~ 09:45 | 歯周外科の術式:切除か再生か、病態診断と治療目標から最適な選択を探る 【小林善郎/こばやし歯科医院】 |
09:50 ~ 10:30 | EMDを用いた歯周組織再生療法を整理する 【松延允資/松延歯科医院】 |
10:50 ~ 11:30 | JACP学術委員会・リグロス臨床研究報告 〜わかってきたリグロスの使いどころと術式の最適化〜 【池上龍朗/富山歯科クリニック】 |
1999年 広島大学歯学部歯学科卒業
1999年 大阪大学歯学部付属病院勤務
2002年 赤野歯科医院勤務 分院長歴任
2012年 イエテボリ大学大学院歯周病学科専門医課程卒業
2013年 DUO デンタルクリニック院長
2018年 大阪大学歯学研究科口腔科学専攻 歯学博士
2023年 広島大学大学院医系科学研究科歯周病態学研究室 客員講師
【所属及び所属学会等】
ヨーロッパ歯周病学会:歯周病/インプラント専門医(European Federation of Periodontology認定)
日本歯周病学会:専門医
日本臨床歯周病学会: 認定医/歯周インプラント認定医
日本口腔インプラント学会会員
スカンジナビアンデンティストリー主宰
【主な著書など】
・インプラントの迷信と真実‐診査、診断〜インプラント周囲炎治療まで ザ・クインテッセンス出版、東京
・DHが守れる最後のチャンス!インプラント周囲粘膜炎 ザ・クインテッセンス出版、東京
・SAFE Troubleshooting Guide Volume6 生物学的合併症編 ザ・クインテッセンス出版、東京
・保険のペリオを極める ザ・クインテッセンス出版、東京
・インプラント周囲疾患のすべて Textbook of Peri-Implant Disease 医歯薬出版株式会社、東京
21世紀に入り,もうすぐ四半世紀が経とうとしている.予防先進国において,歯は多く残せるようになり,欠損が少なくなった.また,歯周病もよくコントロールされるようになり,減少傾向が見られる.しかし,本邦においてはまだまだ歯周病は増加傾向にあり,歯が残せるようになってきているものの,疾病のコントロールがうまくいっているとは言えないのが現状である.
最近流行りのAIテクノロジーでChat GPTが有名だが,AIに21世紀に期待される歯周治療を聞いてみると,★バイオテクノロジーの進歩 ★ゲノム医療の応用 ★デジタル技術の進化 ★ナノテクノロジーの活用 ★遠隔治療の発展 という答えが返ってきた.確かにこれらのうちのいくつかはすでに実用化され,患者に恩恵を与えている.しかし我々はAIにすべての答えを委ねるわけにいかない.AIの意見はあくまで参考として,私なりに現在歯周治療に起こっている進化を考えてみた.我々ヒトが作り上げてきた世界における歯周治療の進化は ★非外科的治療における治療時間の短縮 ★切開,縫合など,治療術式の洗練 ★大きく歯肉弁剥離を行っていた歯周外科の範囲がより小さくなることによる外科的侵襲の減少 ★歯周形成外科と歯周組織再生療法の進化 などが挙げられるであろう.つまり, 20世紀の治療と比べ,低侵襲で成功率の高い治療に加えて,予知性高く審美性の改善も可能となってきたことが大きな変化といえる.これらは患者から求められてきたことに対する現在までのヒトの答えのように思われる.
本日は,“21世紀の今,歯周治療に何が求められているのだろう?”にフォーカスをおきながら,非外科的歯周治療から,以前なら確実に抜歯と考えられた歯周炎罹患歯における保存まで,DH,Drのどちらの学びにもなるような話をさせていただければと思う.
2004年 九州大学歯学部卒業
2012年 こばやし歯科医院 開設
【所属】 日本臨床歯周病学会、日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本顎咬合学会、ITI,JUC、九州臨床再生歯科研究会
歯周病は歯周組織の炎症に起因する疾患であり、進行すると大なり小なり歯周組織破壊が起こる。歯周外科は歯周病の進行により損なわれた歯周組織の健康を回復しメインテナンスしやすい環境を構築する目的で行う。今回、歯周外科における術式選択を病態診断と治療目標に基づいて検討したい。
まず、病態把握のため歯周組織の状態を正確に評価することが不可欠である。口腔衛生状態、骨欠損形態、PPD、BOP、歯肉歯槽粘膜の状態などが含まれる。病態診断は、個別の症例に適した治療戦略を立てる基盤となる。
歯周外科の目的を達成するために、病態を踏まえ術後どのような治癒形態を目標にするのかを決め、歯周外科の術式を検討する。その際患者の期待値や生活習慣などのナラティブな要素、術者側の要素も合わせて検討する必要がある。
病態診断と治療目標に基づいて、歯周外科の術式選択をどのように行ったか症例を通じ提示したい。
2002年(平成14年)九州大学歯学部卒業
産業医科大学歯科口腔外科入局
2005年(平成17年)船越歯周病研究所勤務
2008年(平成20年)松延歯科医院勤務
2011年(平成23年)松延歯科医院継承 現在に至る
【所属学会、スタディグループ】
日本歯周病学会(日本歯周病学会認定専門医)、日本臨床歯周病学会、アメリカ歯周病学会、日本補綴歯科学会、ITI(International Team for Implantology) member、日本顎咬合学会、日本審美歯科協会、日本レーザー歯学会
船越歯周病研修会インストラクター、北九州歯学研究会、SG金曜会
Enamel Matrix Derivative(EMD、エムドゲイン®)のコンセプトは、幼弱ブタの下顎歯胚から抽出・精製したヘルトビィッヒ上皮鞘から分泌されるエナメルマトリックスタンパク質を歯根象牙質に付着させることでセメント芽細胞を誘導し、歯根形成期に生じる歯周組織発生のうち特にセメント質とシャーピー線維の形成を模倣する歯周組織再生療法(Peridontal tissue Regeneration)であることは周知のことであろう。日本での発売当時は、エナメルマトリックスタンパク質のバイアルに溶解液であるプロピレングリコールアルギネート(PGA)を加え使用していたが、現在は安全性向上のため熱処理工程が加えられたシリンジ形態のエムドゲイン®ゲルとして利用されている。
EMDは、垂直性骨欠損に対する歯周組織再生療法として当初は単独使用が基本であった。しかし、骨欠損形態によりEMDが維持しにくい場合には、骨移植材や細胞遮断膜を併用することが有用であるとされる。また、現在では垂直性骨縁欠損だけでなく根面被覆や骨誘導再生療法(Guided Bone Regeneration)などにも広く応用されている。
EMDは、1995年に欧州で承認を受けた後、国内では1998年に認可され現在25年以上が経過している。その間GEM21やリグロスなど様々な再生材料が開発されているが、私自身は最も信用できる再生材料はやはりEMDであると考えている。今回、症例を通してEMDを用いた歯周組織再生療法について話をしてみたい。
2000年 九州大学歯学部卒業
九州大学歯学部附属病院 第二補綴科 研修医勤務
2002年 九州大学大学院(歯学研究院口腔機能修復学講座)入学
2006年 同大学院 卒業
福岡県福津市 水上歯科クリニック 勤務
2010年 福岡県北九州市 富山歯科クリニック 開業
2023年 医療法人池上医院に名称変更
【所属】
Japan United Colleagues(JUC) 会員
日本臨床歯周病学会 認定医
日本臨床歯周病学会 歯周インプラント認定医
OJ理事
日本歯周病学会 会員
日本口腔インプラント学会 会員
日本顎咬合学会 会員
近未来オステオインプラント学会 会員
日本臨床歯科補綴学会 認定専門医
世界初の歯周組織再生薬、bFGFを有効成分とするリグロス®が発売されてから約5年が経ちました。数多くの症例報告がなされ情報の蓄積は行われて来たように感じますが、まだ十分でなく特性や使い処は模索の最中と言えます。
どのような症例に使うのが適しているのか? どんな使い方が有効なのか?
bFGFは既存の歯周組織再生材料EMDとは作用や現象が全く異なるため、現存する再生療法の術式や適応症をリグロス®︎に合わせ最適化させる必要があるようにも感じます。
今回は、私の所属するJACP学術委員会にて行いましたリグロス®の後ろ向き観察研究の結果をもとに、考察されるリグロス®の臨床的な特性の一部を提示させて頂くとともに、おぼろげではあるもののわかってきた「リグロス®が得意とする使いどころ」や「リグロス®︎使用時の術式をどのように最適化するか」について、一部私見を交えますが症例を通じて解説させて頂きたいと思います。
13:20 ~ 14:30 | 腸でおこる歯周病の免疫応答の仕組み 【田中芳彦/福岡歯科大学機能生物化学講座感染生物学分野】 |
14:50 ~ 16:00 | 抜歯か保存かの判断に苦慮する歯への対応とインプラント 【榊恭範/さかきデンタルオフィス】 |
10:30 ~ 11:50 | 人生と歯周病〜Life Supportive Periodontal Therapy~ 【吉村研治/歯科吉村医院】 |
09:05 ~ 09:15 | JSP一般口演① 間葉系幹細胞のスフェロイド形成における発現プロファイルの比較検討 【鬼塚 理/九州歯科大学】 |
09:15 ~ 09:30 | JSP一般口演② 実験的歯周炎を惹起したKK-Ayマウスでは, 糸球体中のHPGDS発現上昇を介して腎症が増悪する. 【佐藤 晃平/九州大学】 |
09:30 ~ 09:45 | JSP一般口演③ Porphyromonas gingivalis由来lipopolysaccharideの口腔扁平上皮癌細胞株HSC3細胞への影響 【土持 那菜子/福岡歯科大学】 |
11:25 ~ 11:40 | JSP一般口演④ S100A9はIL-6/JAK1/STAT3シグナリングを介しマウス骨細胞様細胞MLO-Y4におけるRANKL発現を制御する 【坂本 英次郎/長崎大学】 |
11:40 ~ 11:50 | JSP一般口演⑤ Bone Morphogenetic Protein-9とFK506を併用したヒトセメント芽細胞の分化誘導に対する影響 【岩田 真行/鹿児島大学】 |
09:45 ~ 10:00 | JACP一般口演① 分岐部病変を伴う重度歯周炎患者の一症例 【武井宣暁/薬院たけい歯科クリニック】 |
10:00 ~ 10:10 | JACP一般口演② 下顎前歯の垂直性骨欠損に対しEMDと骨移植材を用いて歯周組織再生療法を行った一症例 【山尾康暢/山尾おとなこども歯科】 |
10:15 ~ 10:25 | JACP一般口演③ 当院における歯周組織再生療法への取り組み 【青木隆宜/あおき歯科クリニック】 |
10:55 ~ 11:05 | JACP一般口演④ 歯周組織再生療法への挑戦 〜臨床6年目のラーニングステージ〜 【峠貴之/東町グラン歯科】 |
11:10 ~ 11:20 | JACP一般口演⑤ 広汎型慢性歯周炎の患者に対しリグロスを用いて歯周再生治療を行なった1症例 【甲斐大嘉/甲斐歯科医院】 |
09:10 ~ 09:20 | DH一般口演① 歯周基本治療を通して恐怖心が強い患者と信頼関係が得られた結果、病状安定後もSPT来院を継続している歯周病患者の一症例 【杉智里/吉田しげる歯科】 |
09:25 ~ 09:35 | DH一般口演② 初期治療中にモチベーション向上とラポール形成に配慮した一症例 【坂本歩美/福岡天神ささだ歯科】 |
福岡歯科大学 口腔歯学部 感染生物学分野・教授
福岡歯科大学 口腔医学研究センター・リーダー
免疫学者。専門領域は、歯周病やカンジダ症などの感染症の免疫応答。
鹿児島県出身。熊本大学医学部を卒業し、同大 外科学第二で消化器外科医として臨床に従事した後、同大 大学院医学研究科に進学し博士(医学)の学位を取得。その後、米国La Jolla Institute for Allergy and Immunology(ラホヤ免疫アレルギー研究所 カリフォルニア州)にて免疫学研究に従事し、九州大学 生体防御医学研究所を経て、2013年 福岡歯科大学 教授。2019年より同大 口腔医学研究センター・リーダー、アニマルセンター・センター長を兼任。
80歳で20本以上歯を残す8020運動によって、歯が多く残っている高齢者は増加したものの、高齢者の歯周病罹患率が上昇している。人生100年時代を迎えて高齢化が進む中、歯周病は歯を失う最大の原因であることから、歯周病の重症化のメカニズムの解明が待たれている。歯周病は歯周病原細菌による感染症で、インターロイキン-17A を産生するヘルパーT細胞のTh17細胞が原因の一つであることに注目されているが、詳しい免疫応答のメカニズムは不明であった。
最近、我々の研究グループは腸での免疫応答が歯周病の発症と重症化を引き起こす仕組みをマウスで解明した。歯周病原細菌をマウスの腸に入れると、腸のパイエル板から歯周病原細菌が取り込まれて、歯周病原細菌に応答するTh17細胞(責任Th17細胞)が腸で活性化することを見出した。その後、責任Th17細胞は腸から歯周病原細菌が感染している歯肉へ移動して、歯周病の重症化を引き起こしていた。一方、無菌マウス(腸内細菌がいない)では、責任Th17細胞は活性化されず歯周病が起こらなかったので、腸内細菌が歯周病の重症化に関わっていることが分かった。今後の検証により、腸内細菌をターゲットとした薬剤や整腸剤による新しい歯周病の予防法と治療法の開発が期待される。
昭和58年 福岡歯科大卒
昭和58年 九州大学歯学部第2保存科入局
昭和62年 榊歯科医院勤務
平成元年 医療法人榊歯科医院勤務
平成6年 さかきデンタルクリニック開業
平成18年 さかきデンタルオフィス開業
北九州歯学研究会会員
日本審美歯科協会会員
日本臨床歯周病学会指導医
日本顎咬合学会指導医
日本歯周病学会専門医
重度の歯周疾患罹患歯,大きな根尖病変を有する歯,骨縁下深くに及ぶ齲蝕歯など,抜歯か保存かの判断に苦慮する歯に対しては,近年,以前に比べて早期に抜歯のうえインプラントが適応されることが多くなったように思われる.確かに,保存の難しい歯を無理に残した結果,術者が経過対応に苦慮するばかりか患者も大変な思いをするといった症例は少なくなく,一方でインプラントの予知性が10~20年前とは比べものにならないほど高くなっている現状では,インプラントの適応を早期に判断することが必ずしも悪いことだとは言えないかもしれない.
しかしながら,初診時に保存不可能と思われた歯が,初期治療あるいは歯周外科といった治療を経た再評価の段階で保存可能となる例も,臨床経過を丁寧に追いかけている歯科医師であれば経験しているところであり,保存か抜歯かの判断は一定の治療介入とその再評価の結果下しても遅くないという考え方も成り立つ.特に若い歯科医師にとっては,たとえ教科書的には抜歯と判断されるような歯であっても,いったんは残す努力をしてみないことには,歯の保存の限界を真の意味で理解することはできないのではないかとも思う.
そこで今回,保存か抜歯かの判断に苦慮する症例への対応とインプラントについて、本音のディスカッションをしてみたい。
1996年 九州大学歯学部卒業
2000年 九州大学大学院歯学研究科卒業 歯学博士
2001年 歯科吉村医院 勤務(大分県由布市湯布院町)
2009年 歯科吉村医院 院長
所属
日本臨床歯周病学会
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本口腔インプラント学会
超高齢社会を迎え、平均残存歯数の増加とともに重度の歯周病に罹患した患者が増えている。何らかの歯周組織のトラブルを経験せずに人生を終える人は皆無と言って過言ではない。近年次々と明らかになった歯周病がもたらす全身の健康への悪影響を考えれば、一人の患者についても、社会からも歯周病治療のニーズは高まるばかりである。
日々様々な年齢の患者と向き合う中で、私たちがまず目指すのは歯周病の予防や早期発見、早期治療であろう。病状や欠損が進行してからの治療には長い期間と来院回数、時には高額の費用が必要となり患者には大きな負担となっている。そのような状況になる前に、歯周病をいち早く治療しメインテナンスできれば、患者にとって有益である。漠然としたイメージとして歯周病は40歳以上の方が病状を自覚して来院し治療を受けていると認識していたし、社会的にも中高年の病気という認知であるが、実はもっと早い年代で始まっている。前半ではそのことを科学性、すなわちエビデンスレベルを意識して収集したいくつかの文献を紐解き、症例を供覧して考察してみたい。
一方で、ある程度進行して来院する患者が多いこともまた事実であり、歯周病の病状や治療計画には患者の年齢やライフイベント、社会的事情が複雑に絡んでくる現実に直面する。一旦メインテナンスに移行したとしても、年齢を重ねるにしたがって予期せぬ病状悪化への対応を迫られることもある。後半では口腔内環境に変化をもたらす因子について共に学んでいきたい。
私たちはLife Supportive Periodontal Therapyを通じて患者の人生の様々な局面に寄り添い、口腔と全身の健康維持に寄与する使命を帯びている。
09:05 ~ 09:45 | 非外科的歯周治療の有効性や、限界と注意事項について〜安全性、確実性、侵襲性に考慮した歯周治療を目指して〜 【中野宏俊/ナカノ歯科医院】 |
09:45 ~ 10:25 | 再生療法をより確実に成功させるために 【坂田憲彦/坂田歯科医院】 |
10:40 ~ 11:20 | 垂直性骨欠損への対応 【田中憲一/田中歯科医院】 |
11:40 ~ 16:00 | 考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するのかpart1 【天野敦雄/大阪大学大学院歯学研究科教授】 |
11:40 ~ 16:00 | 考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するのかpart2 |
11:40 ~ 16:00 | 考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するのかpart3 |
09:00 ~ 09:05 | 開会式 【安増一志/JACP九州支部 支部長】 |
16:00 ~ 16:10 | 閉会式 【中富 研介/JACP九州支部 副支部長】 |
歯周治療には、外科的歯周治療と非外科的歯周治療がある。そして歯周治療の
ファーストステージは、常に非外科的歯周治療(歯周基本治療)である。また、
再発のリスクが必ずあることから、完治のない病気といわれる歯周病には、
定期的な非外科的歯周治療(サポーティブペリオドンタルセラピー)が必須と言われる。
このように、歯周治療において、幅広く必要とされる非外科的歯周治療のスキル
や知識は、歯周治療の成功に大きく関わる。また、非外科的歯周治療の精度の高さは、
外科的歯周治療の成功率を向上させると同時に、そもそも外科的歯周治療の必要性を
減じる事もありうる。
高齢者率の上昇に伴い、有病者も増加するこれからは、非外科的な治療で、
寛解、治癒に導くことのできる技術は、ますます歓迎されるであろう。また、
外科的治療も、侵襲のミニマムな術式に進化してきている。その事は、血餅の保持
や、創部の安定にも有利に働き、その点は非外科的歯周処置(歯肉縁下デブライドメント)
においても同様である。
非外科的歯周処置は、切開、剥離、縫合といったスキルは必要としないが、
非常に狭く不自由な術野で、的確で繊細な手技が必要とされる、難易度の
高い処置と考える。本日は、非外科的歯周処置での失敗症例も含めて供覧し、非外科的
歯周治療について考えてみたい。
略歴
1998年 福岡歯科大学 卒業
1998年 九州大学歯学部附属病院 第二補綴科 勤務
2001年 医療法人水上歯科クリニック 勤務
2006年 坂田歯科医院(福岡市)開業
福岡市開業九州支部所属
歯周病に罹患した天然歯の治療の際、大半は、歯周基本治療で対応できるが、歯周組織再生療法などの歯周外科を行うことも必要である。歯周組織再生療法には基本的な手技やフラップデザインの選択など様々なレシピが存在する。また同じレシピで治療を行ったとしても歯肉の状態や骨欠損の状態などの違いによってその治療の成功率が変わってくる。一方で、患者のライフステージを考慮して歯周病の診断を行い、患者に客観的に提示共有した状態で治療を進め、よりその患者に必要な治療の介入時期や方法を選択することが、治療の成功に繋がると考えられる。今回、再生療法の基本的な手技の側面と、ライフステージを考慮した治療の介入について症例を交えて発表したい。
医療法人 一心会 田中歯科医院
〒822-1101 福岡県田川郡福智町赤池931-4
略歴
1997 年 岩手医科大学歯学部卒業
1997年 守口歯科クリニック勤務(岩手県)
2001年 徳永歯科クリニック勤務(福岡県)
2002年 田中歯科医院 勤務(福岡県)
2011 年 田中歯科医院 開業(福岡県)
所属・認定医等
日本顎咬合学会 指導医
日本口腔インプラント学会 会員
日本臨床歯周病学会 会員
日本審美歯科協会 会員
Osseointegration Study Club of Japan 会員
北九州歯学研究会 会員
JACD 会員
経基臨塾 会員
上田塾 会員
歯科臨床追及会白石組 会員
歯周炎の際に認められる垂直性骨欠損は病的骨吸収であり、口腔内細菌に対する宿主の免疫応答によって引き起こされる組織破壊である。この骨吸収の波及は歯根間距離や周囲歯槽骨の厚み、および歯根形態等に左右される傾向にあり、複雑な形態を呈すこともある。また、骨欠損形態は、その欠損を取り囲む骨壁の数で1壁〜4壁に分類される。その治療方法としては、①歯周組織再生治療、②歯周外科治療(骨整形、骨切除を伴う)、③自然挺出、矯正的挺出、④抜根、抜歯、⑤非外科的治療が挙げられる。これらの中で、①歯周組織再生療法の適応については、AAP(アメリカ歯周病学会)による垂直性骨欠損に対するPractical applicationsでの報告(ディシジョンツリー)を参考基準としたい。一方で、垂直性骨欠損とは骨吸収形態の結果と捉えた場合、骨吸収を発症し歯周ポケットを形成する他の要因との鑑別診断も念頭においておく必要がある。今回は、歯周炎罹患歯に対して、歯周外科治療が必要であると判断後に、治療方法として歯周組織再生療法を選択した症例の術式と結果を提示し、考察を述べさせていたく。
むし歯菌も歯周病菌も口腔常在菌です。常在菌は追い出せません。しかし、この2つの疾患の予防と治療は可能です。それは病因を除去することです。最新病因論をお話します。
① う蝕と歯周病の原因:う蝕や歯周病の原因はdysbiosisです。dysbiosisとは、周囲環境(栄養、温度、pH、嫌気度)の変化によって悪玉菌が増加し、バイオフィルムが高病原化する現象のことです。
② う蝕の発生:食事の度に発酵性糖質(ショ糖、果糖、ブドウ糖、デンプン)が口腔内に入り、それを摂取したう蝕原菌は活性化し、酸を排泄し、バイオフィルムは酸性に傾きます。これがう蝕のdysbiosisです。う蝕のdysbiosisは食事の度に起こっています。
③ 歯周病の発生:バイオフィルム細菌の栄養共生などによる歯周病関連細菌種のdysbiosisが原因です。特に、血液中の栄養分はバイオフィルムの病原性を大幅に高めるため、歯周ポケットからの出血は主病因です。歯周病のdysbiosisは数か月から数年かけて起こります。
④ う蝕と歯周病の治療法:バイオフィルムに供給される栄養を絶つことによりdysbiosisは解消され、病因は除去されます。その詳細をお話しさせて頂きます。
⑤ バイオフィルムの病原性を見分ける術:患者ひとり一人に合わせた歯周管理で無駄な労力を省けます。
⑥ 治すSRP:手首前腕運動、手指屈伸運動、そしてあまの式SRP
⑦ インプラント周囲炎の予防、歯周病にいい食品のトピックもお楽しみに。
09:30 ~ 12:30 | 歯科衛生士のためのハンズオンセミナー 【JACP九州支部指導歯科衛生士/】 |
14:00 ~ 17:00 | 歯科衛生のためのハンズオンセミナー 【JACP九州支部指導歯科衛生士/】 |