日本臨床歯周病学会

九州支部
教育研修会

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九州支部

明解!エビデンスに基づく歯周治療の理解と実践ガイド

研修名:
第2回支部教育研修会
場所:
パピヨン24ガスホール
福岡市博多区千代1丁目17−1

当日のライブ配信はございません。

オンデマンド配信期間:3月25日(月)〜4月7日(日)を予定
現地開催人数制限有り(400名)
日時:
2024年3月3日(日) 09:00〜16:00
大会は終了しました
特別講演
11:50 ~ 12:50 21世紀に求められている歯周治療とは?① 【大月基弘/DUOデンタルクリニック】
特別講演
13:50 ~ 14:30 21世紀に求められている歯周治療とは?② 【大月基弘/DUOデンタルクリニック】
特別講演
14:50 ~ 15:40 21世紀に求められている歯周治療とは?③ 【大月基弘/DUOデンタルクリニック】
会員による講演①
09:05 ~ 09:45 歯周外科の術式:切除か再生か、病態診断と治療目標から最適な選択を探る 【小林善郎/こばやし歯科医院】
会員による講演②
09:50 ~ 10:30 EMDを用いた歯周組織再生療法を整理する 【松延允資/松延歯科医院】
会員による講演③
10:50 ~ 11:30 JACP学術委員会・リグロス臨床研究報告 〜わかってきたリグロスの使いどころと術式の最適化〜 【池上龍朗/富山歯科クリニック】
開会式
閉会式
特別講演
11:50~12:50
演題

21世紀に求められている歯周治療とは?①

大月基弘
DUOデンタルクリニック
略歴

1999年 広島大学歯学部歯学科卒業
1999年 大阪大学歯学部付属病院勤務 
2002年 赤野歯科医院勤務 分院長歴任
2012年 イエテボリ大学大学院歯周病学科専門医課程卒業
2013年 DUO デンタルクリニック院長
2018年 大阪大学歯学研究科口腔科学専攻 歯学博士
2023年 広島大学大学院医系科学研究科歯周病態学研究室 客員講師

【所属及び所属学会等】
ヨーロッパ歯周病学会:歯周病/インプラント専門医(European Federation of Periodontology認定)
日本歯周病学会:専門医
日本臨床歯周病学会: 認定医/歯周インプラント認定医
日本口腔インプラント学会会員
スカンジナビアンデンティストリー主宰

【主な著書など】
・インプラントの迷信と真実‐診査、診断〜インプラント周囲炎治療まで ザ・クインテッセンス出版、東京
・DHが守れる最後のチャンス!インプラント周囲粘膜炎 ザ・クインテッセンス出版、東京
・SAFE Troubleshooting Guide Volume6 生物学的合併症編 ザ・クインテッセンス出版、東京
・保険のペリオを極める ザ・クインテッセンス出版、東京
・インプラント周囲疾患のすべて Textbook of Peri-Implant Disease 医歯薬出版株式会社、東京

抄録

 21世紀に入り,もうすぐ四半世紀が経とうとしている.予防先進国において,歯は多く残せるようになり,欠損が少なくなった.また,歯周病もよくコントロールされるようになり,減少傾向が見られる.しかし,本邦においてはまだまだ歯周病は増加傾向にあり,歯が残せるようになってきているものの,疾病のコントロールがうまくいっているとは言えないのが現状である.
 最近流行りのAIテクノロジーでChat GPTが有名だが,AIに21世紀に期待される歯周治療を聞いてみると,★バイオテクノロジーの進歩 ★ゲノム医療の応用 ★デジタル技術の進化 ★ナノテクノロジーの活用 ★遠隔治療の発展 という答えが返ってきた.確かにこれらのうちのいくつかはすでに実用化され,患者に恩恵を与えている.しかし我々はAIにすべての答えを委ねるわけにいかない.AIの意見はあくまで参考として,私なりに現在歯周治療に起こっている進化を考えてみた.我々ヒトが作り上げてきた世界における歯周治療の進化は ★非外科的治療における治療時間の短縮 ★切開,縫合など,治療術式の洗練 ★大きく歯肉弁剥離を行っていた歯周外科の範囲がより小さくなることによる外科的侵襲の減少 ★歯周形成外科と歯周組織再生療法の進化 などが挙げられるであろう.つまり, 20世紀の治療と比べ,低侵襲で成功率の高い治療に加えて,予知性高く審美性の改善も可能となってきたことが大きな変化といえる.これらは患者から求められてきたことに対する現在までのヒトの答えのように思われる.
 本日は,“21世紀の今,歯周治療に何が求められているのだろう?”にフォーカスをおきながら,非外科的歯周治療から,以前なら確実に抜歯と考えられた歯周炎罹患歯における保存まで,DH,Drのどちらの学びにもなるような話をさせていただければと思う.

特別講演
13:50~14:30
演題

21世紀に求められている歯周治療とは?②

大月基弘
DUOデンタルクリニック
特別講演
14:50~15:40
演題

21世紀に求められている歯周治療とは?③

大月基弘
DUOデンタルクリニック
会員による講演①
09:05~09:45
演題

歯周外科の術式:切除か再生か、病態診断と治療目標から最適な選択を探る

小林善郎
こばやし歯科医院
略歴

2004年 九州大学歯学部卒業
2012年 こばやし歯科医院 開設
【所属】 日本臨床歯周病学会、日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本顎咬合学会、ITI,JUC、九州臨床再生歯科研究会

抄録

 歯周病は歯周組織の炎症に起因する疾患であり、進行すると大なり小なり歯周組織破壊が起こる。歯周外科は歯周病の進行により損なわれた歯周組織の健康を回復しメインテナンスしやすい環境を構築する目的で行う。今回、歯周外科における術式選択を病態診断と治療目標に基づいて検討したい。
 まず、病態把握のため歯周組織の状態を正確に評価することが不可欠である。口腔衛生状態、骨欠損形態、PPD、BOP、歯肉歯槽粘膜の状態などが含まれる。病態診断は、個別の症例に適した治療戦略を立てる基盤となる。
歯周外科の目的を達成するために、病態を踏まえ術後どのような治癒形態を目標にするのかを決め、歯周外科の術式を検討する。その際患者の期待値や生活習慣などのナラティブな要素、術者側の要素も合わせて検討する必要がある。
 病態診断と治療目標に基づいて、歯周外科の術式選択をどのように行ったか症例を通じ提示したい。

会員による講演②
09:50~10:30
演題

EMDを用いた歯周組織再生療法を整理する

松延允資
松延歯科医院
略歴

2002年(平成14年)九州大学歯学部卒業
          産業医科大学歯科口腔外科入局
2005年(平成17年)船越歯周病研究所勤務
2008年(平成20年)松延歯科医院勤務
2011年(平成23年)松延歯科医院継承 現在に至る

【所属学会、スタディグループ】
日本歯周病学会(日本歯周病学会認定専門医)、日本臨床歯周病学会、アメリカ歯周病学会、日本補綴歯科学会、ITI(International Team for Implantology) member、日本顎咬合学会、日本審美歯科協会、日本レーザー歯学会
船越歯周病研修会インストラクター、北九州歯学研究会、SG金曜会

抄録

 Enamel Matrix Derivative(EMD、エムドゲイン®)のコンセプトは、幼弱ブタの下顎歯胚から抽出・精製したヘルトビィッヒ上皮鞘から分泌されるエナメルマトリックスタンパク質を歯根象牙質に付着させることでセメント芽細胞を誘導し、歯根形成期に生じる歯周組織発生のうち特にセメント質とシャーピー線維の形成を模倣する歯周組織再生療法(Peridontal tissue Regeneration)であることは周知のことであろう。日本での発売当時は、エナメルマトリックスタンパク質のバイアルに溶解液であるプロピレングリコールアルギネート(PGA)を加え使用していたが、現在は安全性向上のため熱処理工程が加えられたシリンジ形態のエムドゲイン®ゲルとして利用されている。
 EMDは、垂直性骨欠損に対する歯周組織再生療法として当初は単独使用が基本であった。しかし、骨欠損形態によりEMDが維持しにくい場合には、骨移植材や細胞遮断膜を併用することが有用であるとされる。また、現在では垂直性骨縁欠損だけでなく根面被覆や骨誘導再生療法(Guided Bone Regeneration)などにも広く応用されている。
 EMDは、1995年に欧州で承認を受けた後、国内では1998年に認可され現在25年以上が経過している。その間GEM21やリグロスなど様々な再生材料が開発されているが、私自身は最も信用できる再生材料はやはりEMDであると考えている。今回、症例を通してEMDを用いた歯周組織再生療法について話をしてみたい。

会員による講演③
10:50~11:30
演題

JACP学術委員会・リグロス臨床研究報告 〜わかってきたリグロスの使いどころと術式の最適化〜

池上龍朗
富山歯科クリニック
略歴

2000年 九州大学歯学部卒業
    九州大学歯学部附属病院 第二補綴科 研修医勤務
2002年 九州大学大学院(歯学研究院口腔機能修復学講座)入学
2006年 同大学院 卒業
    福岡県福津市 水上歯科クリニック 勤務
2010年 福岡県北九州市 富山歯科クリニック 開業
2023年 医療法人池上医院に名称変更

【所属】
Japan United Colleagues(JUC) 会員
日本臨床歯周病学会 認定医
日本臨床歯周病学会 歯周インプラント認定医
OJ理事
日本歯周病学会 会員
日本口腔インプラント学会 会員
日本顎咬合学会 会員
近未来オステオインプラント学会 会員
日本臨床歯科補綴学会 認定専門医

抄録

 世界初の歯周組織再生薬、bFGFを有効成分とするリグロス®が発売されてから約5年が経ちました。数多くの症例報告がなされ情報の蓄積は行われて来たように感じますが、まだ十分でなく特性や使い処は模索の最中と言えます。
 どのような症例に使うのが適しているのか? どんな使い方が有効なのか? 
 bFGFは既存の歯周組織再生材料EMDとは作用や現象が全く異なるため、現存する再生療法の術式や適応症をリグロス®︎に合わせ最適化させる必要があるようにも感じます。
 今回は、私の所属するJACP学術委員会にて行いましたリグロス®の後ろ向き観察研究の結果をもとに、考察されるリグロス®の臨床的な特性の一部を提示させて頂くとともに、おぼろげではあるもののわかってきた「リグロス®が得意とする使いどころ」や「リグロス®︎使用時の術式をどのように最適化するか」について、一部私見を交えますが症例を通じて解説させて頂きたいと思います。

開会式
閉会式
九州支部

腸でおこる歯周病の免疫応答の仕組み

研修名:
令和5年度 JSP九州5大学・JACP九州支部合同研修会
場所:
アクロス福岡  福岡市中央区天神1−1−1
後日オンデマンド配信:令和5年12月11日(月)~12月24日(日)
ライブ配信はありません。
 
現地開催人数制限有り(400名)
日時:
2023年11月19日(日) 09:00〜16:00
大会は終了しました
特別講演
13:20 ~ 14:30 腸でおこる歯周病の免疫応答の仕組み 【田中芳彦/福岡歯科大学機能生物化学講座感染生物学分野】
教育講演
14:50 ~ 16:00 抜歯か保存かの判断に苦慮する歯への対応とインプラント 【榊恭範/さかきデンタルオフィス】
歯科衛生士特別講演
10:30 ~ 11:50 人生と歯周病〜Life Supportive Periodontal Therapy~ 【吉村研治/歯科吉村医院】
JSP一般口演
09:05 ~ 09:15 JSP一般口演① 間葉系幹細胞のスフェロイド形成における発現プロファイルの比較検討 【鬼塚 理/九州歯科大学】
09:15 ~ 09:30 JSP一般口演② 実験的歯周炎を惹起したKK-Ayマウスでは, 糸球体中のHPGDS発現上昇を介して腎症が増悪する. 【佐藤 晃平/九州大学】
09:30 ~ 09:45 JSP一般口演③ Porphyromonas gingivalis由来lipopolysaccharideの口腔扁平上皮癌細胞株HSC3細胞への影響 【土持 那菜子/福岡歯科大学】
11:25 ~ 11:40 JSP一般口演④ S100A9はIL-6/JAK1/STAT3シグナリングを介しマウス骨細胞様細胞MLO-Y4におけるRANKL発現を制御する 【坂本 英次郎/長崎大学】
11:40 ~ 11:50 JSP一般口演⑤ Bone Morphogenetic Protein-9とFK506を併用したヒトセメント芽細胞の分化誘導に対する影響 【岩田 真行/鹿児島大学】
会員発表
09:45 ~ 10:00 JACP一般口演① 分岐部病変を伴う重度歯周炎患者の一症例 【武井宣暁/薬院たけい歯科クリニック】
10:00 ~ 10:10 JACP一般口演② 下顎前歯の垂直性骨欠損に対しEMDと骨移植材を用いて歯周組織再生療法を行った一症例 【山尾康暢/山尾おとなこども歯科】
10:15 ~ 10:25 JACP一般口演③ 当院における歯周組織再生療法への取り組み 【青木隆宜/あおき歯科クリニック】
10:55 ~ 11:05 JACP一般口演④ 歯周組織再生療法への挑戦 〜臨床6年目のラーニングステージ〜 【峠貴之/東町グラン歯科】
11:10 ~ 11:20 JACP一般口演⑤ 広汎型慢性歯周炎の患者に対しリグロスを用いて歯周再生治療を行なった1症例 【甲斐大嘉/甲斐歯科医院】
会員発表
09:10 ~ 09:20 DH一般口演① 歯周基本治療を通して恐怖心が強い患者と信頼関係が得られた結果、病状安定後もSPT来院を継続している歯周病患者の一症例 【杉智里/吉田しげる歯科】
09:25 ~ 09:35 DH一般口演② 初期治療中にモチベーション向上とラポール形成に配慮した一症例 【坂本歩美/福岡天神ささだ歯科】
特別講演
座長坂上竜資福岡歯科大学口腔治療学講座歯周病学分野
13:20~14:30
演題

腸でおこる歯周病の免疫応答の仕組み

田中芳彦
福岡歯科大学機能生物化学講座感染生物学分野
略歴

福岡歯科大学 口腔歯学部 感染生物学分野・教授
福岡歯科大学 口腔医学研究センター・リーダー

免疫学者。専門領域は、歯周病やカンジダ症などの感染症の免疫応答。
鹿児島県出身。熊本大学医学部を卒業し、同大 外科学第二で消化器外科医として臨床に従事した後、同大 大学院医学研究科に進学し博士(医学)の学位を取得。その後、米国La Jolla Institute for Allergy and Immunology(ラホヤ免疫アレルギー研究所 カリフォルニア州)にて免疫学研究に従事し、九州大学 生体防御医学研究所を経て、2013年 福岡歯科大学 教授。2019年より同大 口腔医学研究センター・リーダー、アニマルセンター・センター長を兼任。

抄録

 80歳で20本以上歯を残す8020運動によって、歯が多く残っている高齢者は増加したものの、高齢者の歯周病罹患率が上昇している。人生100年時代を迎えて高齢化が進む中、歯周病は歯を失う最大の原因であることから、歯周病の重症化のメカニズムの解明が待たれている。歯周病は歯周病原細菌による感染症で、インターロイキン-17A を産生するヘルパーT細胞のTh17細胞が原因の一つであることに注目されているが、詳しい免疫応答のメカニズムは不明であった。
 最近、我々の研究グループは腸での免疫応答が歯周病の発症と重症化を引き起こす仕組みをマウスで解明した。歯周病原細菌をマウスの腸に入れると、腸のパイエル板から歯周病原細菌が取り込まれて、歯周病原細菌に応答するTh17細胞(責任Th17細胞)が腸で活性化することを見出した。その後、責任Th17細胞は腸から歯周病原細菌が感染している歯肉へ移動して、歯周病の重症化を引き起こしていた。一方、無菌マウス(腸内細菌がいない)では、責任Th17細胞は活性化されず歯周病が起こらなかったので、腸内細菌が歯周病の重症化に関わっていることが分かった。今後の検証により、腸内細菌をターゲットとした薬剤や整腸剤による新しい歯周病の予防法と治療法の開発が期待される。

教育講演
座長樋口琢善
14:50~16:00
演題

抜歯か保存かの判断に苦慮する歯への対応とインプラント

榊恭範
さかきデンタルオフィス
略歴

昭和58年 福岡歯科大卒
昭和58年 九州大学歯学部第2保存科入局               
昭和62年 榊歯科医院勤務
平成元年  医療法人榊歯科医院勤務
平成6年  さかきデンタルクリニック開業
平成18年 さかきデンタルオフィス開業

   北九州歯学研究会会員
   日本審美歯科協会会員
   日本臨床歯周病学会指導医
   日本顎咬合学会指導医
   日本歯周病学会専門医

抄録

 重度の歯周疾患罹患歯,大きな根尖病変を有する歯,骨縁下深くに及ぶ齲蝕歯など,抜歯か保存かの判断に苦慮する歯に対しては,近年,以前に比べて早期に抜歯のうえインプラントが適応されることが多くなったように思われる.確かに,保存の難しい歯を無理に残した結果,術者が経過対応に苦慮するばかりか患者も大変な思いをするといった症例は少なくなく,一方でインプラントの予知性が10~20年前とは比べものにならないほど高くなっている現状では,インプラントの適応を早期に判断することが必ずしも悪いことだとは言えないかもしれない.
 しかしながら,初診時に保存不可能と思われた歯が,初期治療あるいは歯周外科といった治療を経た再評価の段階で保存可能となる例も,臨床経過を丁寧に追いかけている歯科医師であれば経験しているところであり,保存か抜歯かの判断は一定の治療介入とその再評価の結果下しても遅くないという考え方も成り立つ.特に若い歯科医師にとっては,たとえ教科書的には抜歯と判断されるような歯であっても,いったんは残す努力をしてみないことには,歯の保存の限界を真の意味で理解することはできないのではないかとも思う.
 そこで今回,保存か抜歯かの判断に苦慮する症例への対応とインプラントについて、本音のディスカッションをしてみたい。

歯科衛生士特別講演
座長村川達也
10:30~11:50
演題

人生と歯周病〜Life Supportive Periodontal Therapy~

吉村研治
歯科吉村医院
略歴

1996年 九州大学歯学部卒業
2000年 九州大学大学院歯学研究科卒業 歯学博士
2001年 歯科吉村医院 勤務(大分県由布市湯布院町)
2009年 歯科吉村医院 院長
所属
日本臨床歯周病学会
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本口腔インプラント学会

抄録

 超高齢社会を迎え、平均残存歯数の増加とともに重度の歯周病に罹患した患者が増えている。何らかの歯周組織のトラブルを経験せずに人生を終える人は皆無と言って過言ではない。近年次々と明らかになった歯周病がもたらす全身の健康への悪影響を考えれば、一人の患者についても、社会からも歯周病治療のニーズは高まるばかりである。
 日々様々な年齢の患者と向き合う中で、私たちがまず目指すのは歯周病の予防や早期発見、早期治療であろう。病状や欠損が進行してからの治療には長い期間と来院回数、時には高額の費用が必要となり患者には大きな負担となっている。そのような状況になる前に、歯周病をいち早く治療しメインテナンスできれば、患者にとって有益である。漠然としたイメージとして歯周病は40歳以上の方が病状を自覚して来院し治療を受けていると認識していたし、社会的にも中高年の病気という認知であるが、実はもっと早い年代で始まっている。前半ではそのことを科学性、すなわちエビデンスレベルを意識して収集したいくつかの文献を紐解き、症例を供覧して考察してみたい。
一方で、ある程度進行して来院する患者が多いこともまた事実であり、歯周病の病状や治療計画には患者の年齢やライフイベント、社会的事情が複雑に絡んでくる現実に直面する。一旦メインテナンスに移行したとしても、年齢を重ねるにしたがって予期せぬ病状悪化への対応を迫られることもある。後半では口腔内環境に変化をもたらす因子について共に学んでいきたい。
 私たちはLife Supportive Periodontal Therapyを通じて患者の人生の様々な局面に寄り添い、口腔と全身の健康維持に寄与する使命を帯びている。

JSP一般口演
座長吉村 篤利長崎大学
座長西村 英紀九州大学
09:05~09:15
演題

JSP一般口演① 間葉系幹細胞のスフェロイド形成における発現プロファイルの比較検討

鬼塚 理
九州歯科大学
09:15~09:30
演題

JSP一般口演② 実験的歯周炎を惹起したKK-Ayマウスでは, 糸球体中のHPGDS発現上昇を介して腎症が増悪する.

佐藤 晃平
九州大学
09:30~09:45
演題

JSP一般口演③ Porphyromonas gingivalis由来lipopolysaccharideの口腔扁平上皮癌細胞株HSC3細胞への影響

土持 那菜子
福岡歯科大学
11:25~11:40
演題

JSP一般口演④ S100A9はIL-6/JAK1/STAT3シグナリングを介しマウス骨細胞様細胞MLO-Y4におけるRANKL発現を制御する

坂本 英次郎
長崎大学
11:40~11:50
演題

JSP一般口演⑤ Bone Morphogenetic Protein-9とFK506を併用したヒトセメント芽細胞の分化誘導に対する影響

岩田 真行
鹿児島大学
会員発表
座長芳賀剛
09:45~10:00
演題

JACP一般口演① 分岐部病変を伴う重度歯周炎患者の一症例

武井宣暁
薬院たけい歯科クリニック
10:00~10:10
演題

JACP一般口演② 下顎前歯の垂直性骨欠損に対しEMDと骨移植材を用いて歯周組織再生療法を行った一症例

山尾康暢
山尾おとなこども歯科
10:15~10:25
演題

JACP一般口演③ 当院における歯周組織再生療法への取り組み

青木隆宜
あおき歯科クリニック
10:55~11:05
演題

JACP一般口演④ 歯周組織再生療法への挑戦 〜臨床6年目のラーニングステージ〜

峠貴之
東町グラン歯科
11:10~11:20
演題

JACP一般口演⑤ 広汎型慢性歯周炎の患者に対しリグロスを用いて歯周再生治療を行なった1症例

甲斐大嘉
甲斐歯科医院
会員発表
座長中川晃成
09:10~09:20
演題

DH一般口演① 歯周基本治療を通して恐怖心が強い患者と信頼関係が得られた結果、病状安定後もSPT来院を継続している歯周病患者の一症例

杉智里
吉田しげる歯科
09:25~09:35
演題

DH一般口演② 初期治療中にモチベーション向上とラポール形成に配慮した一症例

坂本歩美
福岡天神ささだ歯科
九州支部

考えるペリオ ~最新病因論に基づいた歯周治療~

研修名:
令和4年度第2回支部教育研修会
場所:
パピヨン24ガスホール
福岡市博多区千代1丁目17−1 3F

後日オンデマンド配信を行います。
配信期間:3月20日(月)〜4月2日(日)
現地開催人数制限有り(300名)
日時:
2023年3月5日(日) 09:00〜16:00
大会は終了しました
会員発表
09:05 ~ 09:45 非外科的歯周治療の有効性や、限界と注意事項について〜安全性、確実性、侵襲性に考慮した歯周治療を目指して〜 【中野宏俊/ナカノ歯科医院】
会員発表
09:45 ~ 10:25 再生療法をより確実に成功させるために 【坂田憲彦/坂田歯科医院】
会員発表
10:40 ~ 11:20 垂直性骨欠損への対応 【田中憲一/田中歯科医院】
特別講演(1/3)
11:40 ~ 16:00 考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するのかpart1 【天野敦雄/大阪大学大学院歯学研究科教授】
特別講演(2/3)
11:40 ~ 16:00 考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するのかpart2
特別講演(3/3)
11:40 ~ 16:00 考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するのかpart3
支部長挨拶
09:00 ~ 09:05 開会式 【安増一志/JACP九州支部 支部長】
閉会の辞
16:00 ~ 16:10 閉会式 【中富 研介/JACP九州支部 副支部長】
会員発表
09:05~09:45
演題

非外科的歯周治療の有効性や、限界と注意事項について〜安全性、確実性、侵襲性に考慮した歯周治療を目指して〜

中野宏俊
ナカノ歯科医院
抄録

 歯周治療には、外科的歯周治療と非外科的歯周治療がある。そして歯周治療の
ファーストステージは、常に非外科的歯周治療(歯周基本治療)である。また、
再発のリスクが必ずあることから、完治のない病気といわれる歯周病には、
定期的な非外科的歯周治療(サポーティブペリオドンタルセラピー)が必須と言われる。
 このように、歯周治療において、幅広く必要とされる非外科的歯周治療のスキル
や知識は、歯周治療の成功に大きく関わる。また、非外科的歯周治療の精度の高さは、
外科的歯周治療の成功率を向上させると同時に、そもそも外科的歯周治療の必要性を
減じる事もありうる。
 高齢者率の上昇に伴い、有病者も増加するこれからは、非外科的な治療で、
寛解、治癒に導くことのできる技術は、ますます歓迎されるであろう。また、
外科的治療も、侵襲のミニマムな術式に進化してきている。その事は、血餅の保持
や、創部の安定にも有利に働き、その点は非外科的歯周処置(歯肉縁下デブライドメント)
においても同様である。
 非外科的歯周処置は、切開、剥離、縫合といったスキルは必要としないが、
非常に狭く不自由な術野で、的確で繊細な手技が必要とされる、難易度の
高い処置と考える。本日は、非外科的歯周処置での失敗症例も含めて供覧し、非外科的
歯周治療について考えてみたい。

会員発表
09:45~10:25
演題

再生療法をより確実に成功させるために

坂田憲彦
坂田歯科医院
略歴

略歴
1998年   福岡歯科大学 卒業

1998年   九州大学歯学部附属病院 第二補綴科 勤務

2001年   医療法人水上歯科クリニック 勤務

2006年   坂田歯科医院(福岡市)開業

福岡市開業九州支部所属

抄録

歯周病に罹患した天然歯の治療の際、大半は、歯周基本治療で対応できるが、歯周組織再生療法などの歯周外科を行うことも必要である。歯周組織再生療法には基本的な手技やフラップデザインの選択など様々なレシピが存在する。また同じレシピで治療を行ったとしても歯肉の状態や骨欠損の状態などの違いによってその治療の成功率が変わってくる。一方で、患者のライフステージを考慮して歯周病の診断を行い、患者に客観的に提示共有した状態で治療を進め、よりその患者に必要な治療の介入時期や方法を選択することが、治療の成功に繋がると考えられる。今回、再生療法の基本的な手技の側面と、ライフステージを考慮した治療の介入について症例を交えて発表したい。

会員発表
10:40~11:20
演題

垂直性骨欠損への対応

田中憲一
田中歯科医院
略歴

医療法人 一心会 田中歯科医院
〒822-1101 福岡県田川郡福智町赤池931-4

略歴
1997 年 岩手医科大学歯学部卒業
1997年 守口歯科クリニック勤務(岩手県)
2001年 徳永歯科クリニック勤務(福岡県)
2002年 田中歯科医院   勤務(福岡県)
2011 年 田中歯科医院   開業(福岡県)  

所属・認定医等
日本顎咬合学会 指導医
日本口腔インプラント学会 会員
日本臨床歯周病学会 会員
日本審美歯科協会 会員
Osseointegration Study Club of Japan 会員
北九州歯学研究会 会員
JACD 会員
経基臨塾 会員
上田塾 会員
歯科臨床追及会白石組 会員

抄録

 歯周炎の際に認められる垂直性骨欠損は病的骨吸収であり、口腔内細菌に対する宿主の免疫応答によって引き起こされる組織破壊である。この骨吸収の波及は歯根間距離や周囲歯槽骨の厚み、および歯根形態等に左右される傾向にあり、複雑な形態を呈すこともある。また、骨欠損形態は、その欠損を取り囲む骨壁の数で1壁〜4壁に分類される。その治療方法としては、①歯周組織再生治療、②歯周外科治療(骨整形、骨切除を伴う)、③自然挺出、矯正的挺出、④抜根、抜歯、⑤非外科的治療が挙げられる。これらの中で、①歯周組織再生療法の適応については、AAP(アメリカ歯周病学会)による垂直性骨欠損に対するPractical applicationsでの報告(ディシジョンツリー)を参考基準としたい。一方で、垂直性骨欠損とは骨吸収形態の結果と捉えた場合、骨吸収を発症し歯周ポケットを形成する他の要因との鑑別診断も念頭においておく必要がある。今回は、歯周炎罹患歯に対して、歯周外科治療が必要であると判断後に、治療方法として歯周組織再生療法を選択した症例の術式と結果を提示し、考察を述べさせていたく。

特別講演(1/3)
11:40~16:00
演題

考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するのかpart1

天野敦雄
大阪大学大学院歯学研究科教授
抄録

むし歯菌も歯周病菌も口腔常在菌です。常在菌は追い出せません。しかし、この2つの疾患の予防と治療は可能です。それは病因を除去することです。最新病因論をお話します。
① う蝕と歯周病の原因:う蝕や歯周病の原因はdysbiosisです。dysbiosisとは、周囲環境(栄養、温度、pH、嫌気度)の変化によって悪玉菌が増加し、バイオフィルムが高病原化する現象のことです。
② う蝕の発生:食事の度に発酵性糖質(ショ糖、果糖、ブドウ糖、デンプン)が口腔内に入り、それを摂取したう蝕原菌は活性化し、酸を排泄し、バイオフィルムは酸性に傾きます。これがう蝕のdysbiosisです。う蝕のdysbiosisは食事の度に起こっています。
③ 歯周病の発生:バイオフィルム細菌の栄養共生などによる歯周病関連細菌種のdysbiosisが原因です。特に、血液中の栄養分はバイオフィルムの病原性を大幅に高めるため、歯周ポケットからの出血は主病因です。歯周病のdysbiosisは数か月から数年かけて起こります。
④ う蝕と歯周病の治療法:バイオフィルムに供給される栄養を絶つことによりdysbiosisは解消され、病因は除去されます。その詳細をお話しさせて頂きます。
⑤ バイオフィルムの病原性を見分ける術:患者ひとり一人に合わせた歯周管理で無駄な労力を省けます。
⑥ 治すSRP:手首前腕運動、手指屈伸運動、そしてあまの式SRP
⑦ インプラント周囲炎の予防、歯周病にいい食品のトピックもお楽しみに。

特別講演(2/3)
11:40~16:00
演題

考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するのかpart2

特別講演(3/3)
11:40~16:00
演題

考えるペリオのバイオロジー:バイオフィルムはなぜ豹変するのかpart3

支部長挨拶
09:00~09:05
演題

開会式

安増一志
JACP九州支部 支部長
閉会の辞
16:00~16:10
演題

閉会式

中富 研介
JACP九州支部 副支部長
九州支部

歯科衛生士のためのハンズオンセミナー

研修名:
CEC IN KYUSHU 2022(午前の部)
場所:
博多メディカル専門学校
福岡市博多区千代4丁目32ー1
現地開催人数制限有り(20名)
日時:
2022年10月9日(日) 09:30〜12:30
大会は終了しました
ハンズオンセミナー
09:30 ~ 12:30 歯科衛生士のためのハンズオンセミナー 【JACP九州支部指導歯科衛生士/】
ハンズオンセミナー
09:30~12:30
演題

歯科衛生士のためのハンズオンセミナー

JACP九州支部指導歯科衛生士
九州支部

歯科衛生のためのハンズオンセミナー

研修名:
CEC IN KYUSHU 2022(午後の部)
場所:
博多メディカル専門学校
福岡市博多区千代4丁目32−1
現地開催人数制限有り(20名)
日時:
2022年10月9日(日) 14:00〜17:00
大会は終了しました
ハンズオンセミナー
14:00 ~ 17:00 歯科衛生のためのハンズオンセミナー 【JACP九州支部指導歯科衛生士/】
ハンズオンセミナー
14:00~17:00
演題

歯科衛生のためのハンズオンセミナー

JACP九州支部指導歯科衛生士