10:05 ~ 10:25 | 「⻭科不信の患者に対し⻭周基本治療を⾏った⼀症例」 【原野晶代/竹村歯科】 |
10:25 ~ 10:45 | 「インプラントメインテナンスに移行後、8年が経過した一症例」 【丸山葉子/タニオ歯科】 |
10:50 ~ 11:10 | 広汎性重度慢性歯周炎(StageⅢGradeB)の患者の下顎右側臼歯部に対し、 歯周組織再生療法と切除療法を併用した一症例 【高屋 翔/高屋歯科医院】 |
11:10 ~ 11:30 | 乳頭切開を伴わない結合組織移植術とその応用 【中長武史/中長デンタルオフィス】 |
12:30 ~ 12:55 | 歯周治療後の補綴計画における前歯部の役割と考慮事項 【萩原 誠/医療法人 きずな歯科クリニック】 |
12:55 ~ 13:20 | 「インプラント周囲疾患を考慮した補綴的配慮」 【鈴木秀典/一般財団法人サンスター財団附属千里歯科診療所】 |
13:20 ~ 13:45 | 歯周治療を考慮した包括的治療 ~咬合の安定をめざして~ 【中野 浩/医療法人 成和歯科診療所】 |
14:05 ~ 15:25 | 力(咬合)のリスク診断によって変わる治療計画 【大森有樹/大森歯科医院】 |
15:30 ~ 15:45 | 質疑応答 |
15:45 ~ 15:55 | 総会 |
2005年 高知学園短期大学歯科衛生専攻 卒業
2005年 野中歯科勤務
2010年 弁天町歯科勤務
2012年 なかやま歯科 勤務
2020年 竹村歯科 本町医院 勤務
歯周治療においてスケーリングルートプレーニングは必須である。
患者にその重要性を伝え、理解、納得していただき治療を行うことが必要である。
そのためには患者に現状、治療内容を理解してもらわなくてはならない。
今回、歯科医院嫌いでスケーリングルートプレーニングを行ったことのない患者に
対し、DrとDHで連携をとりコンサルを行うことでインフォームドコンセントを得
ることができ再評価まで進むことができた。
今後外科処置に移行予定ではあるものの、モチベーションの維持、口腔内環境の安
定に繋がっている今後の変化に注目している一症例を報告する。
2002年
関西女子短期大学 歯科衛生士コース 卒業
2004年
大阪歯科大学付属歯科技工士専門学校 卒業
2004年4月〜2008年3月
大阪市内歯科技工所にて歯科技工士として勤務
2008年4月
タニオ歯科クリニック オープニングスタッフとして入局
所属学会
・日本臨床歯周病学会
・日本歯周病学会
・日本顎咬合学会
・日本臨床歯科学会
インプラント治療後の口腔機能やインプラント周囲組織の健康状態を,長期にわたって維持・安定させるために,定期的なメインテナンスは必須である.患者は63歳 女性(全身既往歴は特記事項なし,喫煙歴なし)で,主訴は上下の歯ぐきが痛いとのことで来院した.本症例の患者は,プラークコントロールが不良であることを自覚しているが,歯科不信と口腔内を診られることに対する羞恥心が強く,歯科医院を20年間受診できなかった.診断は,広汎型慢性歯周炎(ステージⅣグレードC)で,全抜歯後,上顎は全部床義歯, 下顎はインプラント支持補綴装置を装着した.
今回は,治療終了時から現在まで,高いモチベーションを伴い口腔機能と健康なインプラント周囲組織が維持されている,メインテナンスに移行後8年経過症例を発表する.
重度に進行した歯周疾患は、著しい歯槽骨吸収、歯牙動揺、病的な歯の移動を伴う。場合によっては歯が喪失し咬合崩壊につながり、咀嚼障害や審美障害を招き、患者のQOLが大きく低下する。現在、咬合と歯周病の関係については様々な研究や議論がなされており、咬合力のコントロールと炎症のコントロールが重要なことは周知の事実である。
今回、全顎的に歯周病が進行しており、動揺がほぼすべての歯に起きている患者に対して、多くの治療介入を行った。特に分岐部病変Ⅲ度と動揺1〜2度を伴う下顎右側大臼歯部の治療計画立案したのちに処置したが、対応に苦慮した本症例を通じて、諸先生方のご意見とご指導を賜りたい。
以下に治療概要を列挙する。今回の症例の主訴は「歯が揺れて噛めない」であった。ほぼすべての歯に動揺と病的移動を認めた。動揺固定のため、プロビジョナルレストレーションを装着し、咬合の安定を確保しつつ基本治療を開始した。基本治療終了後、下顎右側臼歯部歯周組織再生療法を行った。組織の治癒を8ヶ月程度観察し、骨整形を含めた切除療法を行なった。組織の治癒を待ちながら、プロビジョナルレストレーションを修正し、清掃性を確認できたので最終補綴を作製、装着した。現在、SPTに移行し経過観察を行っている。
https://us06web.zoom.us/j/88328876533?pwd=dndUMVNtZUx0Y3FLSUJIaU9GSGp6UT09
結合組織移植術(CTG:Connective Tissue Graft) は、⻭⾁退縮により露出した⻭根⾯の被覆や
Gingival phenotypeの改善に効果的な⼿法として広く⽤いられている。
CTGを併⽤した根⾯被覆術は、1985年にLanger & Langerによって提唱され、同年にはRaetzkeによるEnvelope technique、1994年にはBrunoによるModified Langer technique、AllenによるTunnel technique、2000年にはZucchelliによる改良型⻭⾁弁⻭冠側移動術(MCAF: Modified
Coronally Advanced Flap)、2011年にはZadehによるVISTA techniqueなど、現在に⾄るまで様々な変法や新たなアプローチが発表されてきた。
⻭周形成外科の術式は、各術式の⻑所を活かし短所を補完しながら発展を続けており、術式の特徴を理解することは、術式選択のヒントとなりうる。
筆者の臨床では、⻭間乳頭の切開により⽣じた瘢痕化や予期せぬリセッションの経験から、切開の少ないEnvelope techniqueやTunnel techniqueを選択することが多い。これらの術式に⻭⾁弁 ⻭冠側移動術(CAF: Coronally Advanced Flap)を組み合わせる事で移植⽚への⾎液供給を確保し、根⾯被覆の予知性に寄与していると考えている。また、VISTA techniqueの応⽤により受容床形成が容易になり、さらにCTGの適応範囲が広がったように感じている。
今回の発表では、Envelope techniqueやTunnel technique、VISTA techniqueを⽤いた症例を通して、⻭間乳頭の切開を伴わない術式の有⽤性を考察し、諸先⽣⽅のご指導を賜りたい。
2010年 広島大学歯学部卒業
2011年 きずな歯科クリニック勤務
所属
日本臨床歯周病学会
日本口腔インプラント学会
日本顕微鏡歯科学会
日本顎咬合学会
重度歯周病患者においては,歯槽骨が吸収していくにしたがって,動揺がみられるようになり病的歯牙移動や,2次性咬合性外傷などの問題が生じることになる。また,歯の動揺により咬頭嵌合位は不安定になることや,適切なアンテリアガイダンスを失うことにつながることもある。さらに欠損が生じると残存歯に過重負担がかかるようになる。これらの改善のためには可及的に歯周組織再生療法にて失われた組織の再建を試みるとともに,矯正治療や補綴治療で咬合性外傷を取り除き動揺を収束させる必要がある。咬合の不調和と歯周病の悪化との関わりについては様々議論されているが,歯周病の既往があり,その骨破壊が咬合の不調和によって修飾されている場合には,咬合状態の改善が必要であると考えられる。
咬合回復治療でこれらを達成するためには,咬頭嵌合位の安定と臼歯部離開咬合が求められる。前者においては,適切な顎位で,歯列の連続性を確保し,補綴物には上下の対向関係にも配慮した適切な咬合面形態を付与することが求められる。後者は臼歯部に対して強い過剰な咬合負担がかからないようにするために,前歯部に適切なアンテリアガイダンスを付与し,さらに側方運動時に臼歯部咬合面形態との調和を図ることが求められる。さらに,治療の再介入の危険性を考慮したとき,連結固定の範囲はできる限り小さい範囲ですることが好ましいと考えている。
本講演では,自身の臨床症例を通じて前歯部に焦点を当てて,考慮した点を提示する。
口腔インプラントはあらゆる欠損を有する患者の補綴治療戦略に今や欠かすことのできない有効な治療オプションである。その長期予後において問題となるのが、インプラント周囲炎をはじめとしたインプラント周囲疾患であるが、近年の研究結果からその有病率が思いのほか高いことがわかってきた。インプラントの補綴装置は粘膜貫通部分も装置に含まれる点で天然歯の補綴装置と大きく異なる。選択する形状や素材の選択の良し悪しが、インプラント周囲疾患に影響を及ぼす可能性は十二分に考えられる。しかし、これまでインプラントの長期予後は、セルフケアの方法やメインテナンス管理方法に依存していると考えられてきたことから、これまで補綴装置との関係についてはあまり議論されていない。その固定様式が話題になることはあったが、まだまだ情報が不足している現状である。本講演では、現在のメインテナンス主導型インプラント治療時代における、「インプラント周囲疾患と補綴装置の関係」について、現時点で分かっているエビデンスをもとに整理してお伝えしたい。
1992年 大阪大学歯学部 卒業
大阪大学歯学部歯科補綴学第一講座 入局
1997年 宮前歯科医院 勤務
2000年 医療法人宮前歯科クリニック 理事
2007年 医療法人成和歯科診療所 理事長
【所属・役職】
日本臨床歯周病学会 常任理事 認定医
日本補綴歯科学会 会員
日本口腔インプラント学会 会員
日本歯科審美学会 会員
JIADS常任講師
歯周病と咬合の関係については、過去から様々な議論がなされているが、歯周治療と咬合治療の関係に対する明確なエビデンスはない。咬合はプラークに起因する炎症性疾患である歯周炎の発症には関与しないとはいうものの、歯周病の進行や長期的な予後への影響については未だ不明な点が多く否定はできない。実際の臨床の場においては、う蝕や歯の欠損、咬合の不調和が生じている、咬合が崩壊しているなどの理由から歯周病を有する患者に対して補綴・咬合治療が必要となるケースが多い。その際には、過度な咬合力がアタッチメントロスや、垂直性骨欠損、プロービングデプスの増悪に影響を与えるという可能性を考慮して診断や治療を行うことが治療結果の長期的な安定を得るために大切であると考えている。
今回、歯周疾患を有する患者に対して補綴・咬合治療を行った症例を供覧し、歯周治療における補綴・咬合的配慮の重要性について考えてみたい。
1999年 九州歯科大学 卒業
2005年 大森歯科医院 開設
2020年 大阪歯科大学 歯学博士・非常勤講師
日本臨床歯科学会(大阪SJCD) 大阪支部長
日本口腔インプラント学会 専門医
ITI フェロー
ARDEC Research Affiliate
大森塾 主宰
人間の口腔内に起こるトラブルの原因は意外とシンプルで、1、カリエス2、ペリオ3、力(咬合)4、医原性の4つくらいしかない。カリエスとペリオに関してはエビデンスも多く存在し、エビデンスに基づき適切な対応をすればトラブルを回避することが可能である。しかし力に関してはエビデンスも少なく、それぞれの術者の勘や経験に頼るところが多い。
もしその患者が力によって起こるトラブルに見舞われやすい(力のリスクが高い)のであれば、咬合再構成をはじめとする力のコントロールが必要となる。その判別は、力のリスク診断を行わなければわからない。つまり力のリスク診断の結果によって、咬合治療が必要かどうかを含め治療計画が大きく変わるのである。
根本的な解決を図るためには、力のリスク診断を行い、その結果に基づき治療計画を立て、治療・メインテナンスにあたらなければならない。
10:35 ~ 10:55 | 「歯周基本治療を低侵襲で行った症例~再生療法までの道~」 【池上夏生/医療法人社団 奥田歯科医院】 |
10:55 ~ 11:15 | 「リグロスⓇとサイトランスⓇグラニュールを併用した 歯周組織再生療法を実施した症例」 【北村正博/大阪大学大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座 歯周病分子病態学】 |
11:20 ~ 11:40 | 「歯周基本治療により難治性皮膚疾患の改善を認めた一症例」 【嘉藤弘仁/大阪歯科大学 歯周病学講座】 |
11:40 ~ 12:00 | 包括的治療におけるインプラントおよび 再生療法の治療計画について考慮した一症例 【粟谷英信/姫路駅前グランツ歯科】 |
12:45 ~ 13:10 | シンポジウム ①「インプラント周囲組織における抜歯後即時インプラント埋入の可能性」 【奥田浩規/医療法人社団 奥田歯科医院】 |
13:10 ~ 13:35 | シンポジウム ② 「リッジプリザベーションを利用したインプラント治療」 【小田師巳/医療法人小田会 おだデンタルクリニック】 |
13:35 ~ 14:00 | シンポジウム ③ 「GBRを用いたインプラント治療」 【平山富興/医療法人優愛会 須沢歯科・矯正歯科】 |
14:20 ~ 15:40 | インプラント治療における骨造成を考察する 【猪子光晴/医療法人社団 いのこ歯科医院】 |
歯周炎に罹患した歯に対して、まず歯周基本治療を行いますが、そこでは非外科的歯
周治療が主に選択されます。その後、歯周組織再生療法や切除療法といった外科的歯周
治療が、再評価後に必要とされることも多く経験することでしょう。しかし、全ての患
者に外科治療の同意を得られるわけではありません。また、非外科的歯周治療の質を高
めることにより、外科的介入を避けることができるのであれば、患者の負担は少な
く、喜んでいただけることに疑いの余地はありません。
昨今、マイクロスコープの普及により、歯科衛生士が治療の質を高めるために使用す
ることも増えています。低侵襲な非外科的歯周治療(MINSTcc minimally invasive non
surgical technique)を行うにあたって、マイクロスコープを使用し拡大下で歯石を除去することで裸眼では確認できなかった歯石を探知できたり、歯周組織を傷つけず患者の負担が減るなど効果的であると考えています。
本症例では、歯周組織再生療法が必要となると考えられた重度歯周炎に罹患した歯に
対し、マイクロスコープ下でSRPを行った症例を提示させていただきます。
リグロスⓇ(0.3%FGF-2:線維芽細胞増殖因子)を用いたフラップ手術は、現在日本における歯周組織再生療法の標準治療になっている。しかしながら、リグロスⓇにはスペースメーキング機能がなく、リグロスⓇの単独投与では重度骨欠損の歯周組織再生効果に限界があるため、リグロスⓇと骨補填材との併用により歯周組織再生効果を増強する試みがなされている。そこで、今回我々は、10名の重度歯周炎患者を対象として、リグロスⓇと炭酸アパタイトを主成分とする骨補填材(サイトランスⓇグラニュール)を併用した歯周組織再生療法の安全性(主要評価項目)および有効性(副次評価項目)を評価するため、特定臨床研究(臨床研究実施計画番号:jRCTs051190045)を実施した。
本発表では、リグロスⓇとサイトランスⓇグラニュールを併用した歯周組織再生療法を実施した臨床例を提示すると共に、被験部位の主要評価項目と副次評価項目の解析結果をお示しし、両者を併用した歯周組織再生療法の安全性および有効性について考察する。
2010年3月 大阪歯科大学歯学部 卒業
2014年3月 大阪歯科大学大学院歯学研究科 修了 博士(歯学)
2015年4月 大阪歯科大学歯学部 歯周病学講座 助教
2021年4月 大阪歯科大学歯学部 歯周病学講座 講師(現在に至る)
日本歯周病学会 歯周病専門医
日本歯科保存学会 歯科保存治療専門医
掌蹠膿疱症(palmoplantar pustulosis: 以下, PPPとする)は手掌や足蹠部に限局性紅斑と多発性無菌性膿疱を特徴とする難治性皮膚疾患である。PPPでは膿疱周辺部の疼痛や関節炎を伴い, 足蹠部の病変が拡大すると歩行困難などの機能障害が生じるため患者の生活の質(quality of life: QOL)が大きく損なわれる。
PPPの発症機序は未だ不明であるが, 病巣扁桃, 歯性病巣, 副鼻腔炎など慢性炎症を伴う疾患の病巣が発症に関連することが多く, 歯性感染単独が原因となるのは約50%を占めると報告されている。したがって, 歯性病巣を含めた感染病巣を適切に除去することが求められる。しかし, PPPの感染病巣は無症状の潜在性炎症であるため適切な診断と治療が遅れ, 皮膚症状や関節症状は慢性の経過を辿ることが多い。
今回, 某総合病院皮膚科から歯科口腔外科を介して歯性感染の精査を依頼された慢性歯周炎患者(ステージⅢ・グレードB)に対してスケーリング・ルートプレーニング等の歯周基本治療を行いPPPの改善を認めた症例を経験した。本発表では, 歯周組織と皮膚症状の改善との関連を考察し, 歯周治療の臨床経過について報告する。
略歴
2010年 大阪大学歯学部卒業
2010年 滋賀県立成人病センター口腔外科勤務
2012年 兵庫県内歯科医院勤務
2019年 姫路駅前グランツ歯科 開業
所属
日本臨床歯周病学会
日本臨床歯科学会
日本口腔外科学会
日本口腔インプラント学会
日本顎咬合学会
歯周組織再生療法の結果に影響する因子はいくつか存在するが、その中でも術後に血餅の安定(blood clot stability)を得られるかということは重要な因子である。血餅を安定させることができるかどうかは、外科手技を適切に行うこと以外にも、術後の歯の動揺の有無や、術前の骨欠損の形態に左右される。特に骨欠損形態に関しては、3壁性骨欠損のようなcontained defectよりも1壁性骨欠損のようなnon-contained defectの方が血餅の安定が得られにくく、さらに骨欠損の角度に関しても狭いものよりも広いものの方が同様に血餅の安定に不利とされる。
本症例の患者は56歳の男性で、審美障害と咀嚼障害を主訴に来院された。多数歯欠損による咬合崩壊を認め、広汎型慢性歯周炎(stageⅣ gradeC)と診断した。特に上顎前歯部は下顎前歯部からの突き上げと垂直性骨欠損を伴う非生理的な歯槽骨形態であり、治療予後は不良である可能性が考えられた。しかし、患者との綿密なカウンセリングを元に、同部位は可能な限り天然歯を保存することとし、インプラントを用い臼歯部の強固な咬合支持を確保することで、上顎前歯部における2次性咬合性外傷に対応することとした。また、幅の広い1壁性骨欠損に対し、矯正治療と歯周組織再生療法を計画的に行うことにより、生理的な歯槽骨形態及び辺縁歯肉形態の獲得を目指した。
本発表を通じて諸先生方のご意見、ご指導を賜りたいと思う。
略歴
2006年 愛知学院大学歯学部卒業
2007年 愛知学院大学歯学部付属病院総合診療科勤務
2008年 神戸市歯科医院勤務
2012年 奥田歯科医院 開業
所属
日本臨床歯科学会 大阪支部
日本臨床歯周病学会
オッセオインテグレイション・スタディクラブ・オブ・ジャパン
日本口腔インプラント学会
顕微鏡歯科学会
抜歯を行うことにより、硬軟組織の幅と高さの減少が生じることは周知のことであり、特に、日本人の前歯部においては唇側歯槽骨の厚みが薄く、抜歯後早期に唇側束状骨が大きく失われるため、その後のインプラント埋入が極めて難しくなる。
近年、前歯部・臼歯部の抜歯後即時インプラント埋入における良好な結果が立証されてきており、同術式は、条件を満たせば有益な治療法であると考えている。
よって、普段の臨床においても前歯・臼歯問わず抜歯後即時インプラント埋入が適応であれば、唇側骨の保存を念頭にいれながら、治療の第一選択としている。
その際、抜歯前の硬軟組織の診断が重要で、『抜歯後即時インプラント埋入を行うことが可能か、リッジプリザベーション、GBRなどの治療オプションを併用するのか』
などインプラント埋入を行うタイミングに関しては十分吟味した上でインプラント治療に望まなければならない。
本講演では前歯部における症例を中心に抜歯後即時インプラント埋入を成功に導く診断基準について文献的考察を踏まえてお話ししたい。
略歴
2001年 岡山大学歯学部卒業
2005年 おだデンタルクリニック開業
2006年 医療法人小田会 理事長
2012年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科修了 博士(歯学)取得
所属
日本臨床歯周病学会 関西支部理事
日本口腔インプラント学会 専門医
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科インプラント再生補綴学分野 非常勤講師
抜歯後の歯槽骨吸収は経験的にもよく知られており、インプラント埋入時に我々臨床医をしばしば悩ませる。特に、唇(頬)側骨の厚みが薄い部位における抜歯後の歯槽骨吸収は、時に深刻な状況を生み出し、ブロック骨移植や強化フレーム付き非吸収性メンブレンなどを用いた大規模なGBRを必要とする場合がある。そのような状況を回避するため、かねてより、抜歯後の歯槽骨吸収を抑制するリッジプリザベーションが注目されており、様々な骨補填材やメンブレンを用いた術式が報告されてきた。また、リッジプリザベーションの目的も従来の「歯槽骨吸収の拡大抑制」から、近年では「骨吸収を有する抜歯窩外側に抜歯と同時にGBRを行い、顎堤の増大を図る」まで、変化と広がりを見せている。すなわち、選択すべき術式もおのずと異なってくるわけである。
本日は、どのような状況の歯を抜歯する場合にリッジプリザベーションを選択すべきなのか、加えて、抜歯対象歯がうけているダメージの度合いによって異なる術式選択の考え方を解説し、皆様とディスカッションしたいと思う。
語句補足説明
リッジプリザベーションとは、「抜歯後の変化として生じる歯槽堤の硬・軟組織の吸収に伴う体積の減少を抑制する処置」を指す。また、骨補填材を抜歯窩に填入する処置を指すソケットグラフト(socket graft)や、吸収した抜歯窩壁の造成術(ridge augmentation of extraction sockets )など、より細分化された語句があるが、本講演においては、これらを抜歯時に行う一連の処置としてまとめ、リッジプリザベーションという語句に含めることとする。
◆ 略歴
1999年 大阪歯科大学卒業
1999年 医療法人 西村歯科金剛診療所 勤務
2014年 須沢歯科・矯正歯科 承継・開業
2016年 医療法人優愛会 須沢歯科・矯正歯科 理事長
◆ 所属
日本歯周病学会 専門医
日本臨床歯周病学会 認定医
日本口腔インプラント学会 会員
日本歯科審美学会 会員
American Acadedemy of Periodontology (AAP) 会員
EAO (European Association for Osseointegration) 会員
OJ (Osseointegration Study Club of Japan) 正会員
◆ 抄録
インプラント治療が臨床に取り入れられるようになって約半世紀が経過した。日常臨床において、そのほとんどは部分欠損症例であるが、日本人の歯の喪失理由では歯周病がもっとも多いため、歯周病で歯を失った患者に対しては、インプラント治療に先立ち歯周治療を成功させるだけでなく、歯周病患者の特徴を十分理解してインプラント治療を行う必要がある。また、歯周病患者においては、欠損部の歯槽骨が高度に吸収していることが多く、欠損部歯槽堤に対する骨造成などを行わなくてはインプラントを埋入できないことも多い。さらに、治療後の予知性を高めるためには、残存歯だけでなくインプラント周囲においても清掃性の高い口腔環境を構築することが求められ、3次元的に正しい位置にインプラントを埋入し、清掃しやすい上部構造を装着することが重要となるが、埋入部位の水平的・垂直的骨量不足に多くの症例で遭遇する。
上記のような問題点を鑑み、患者に長期予後を提供することが大切であるという背景から、以前の「外科主導型インプラント治療」から「補綴主導型インプラント治療」が推奨されるようになり、天然歯に近い、清掃しやすい形態を付与するために、まず硬組織を望ましい条件に整える歯槽堤増大術が必須となってきた。そして、歯槽堤増大術のなかでも、臨床家にとって最も汎用性の高い手技は骨誘導再生療法(Guided Bone Regeneration: GBR)であると考えている。
そこで本講演では、GBRで使用されるマテリアル・手技を再確認し、実際の症例とその予後を検証したい。
略歴:
昭和62年(1987) 日本歯科大学新潟歯学部卒業
昭和62年(1987) 日本歯科大学新潟歯学部第一口腔外科教室勤務
平成 4年(1992) いのこ歯科医院 理事長
所属・専門医認定医等:
日本歯科大学新潟生命歯学部歯周病学講座 非常勤講師
東京歯科大学歯周病学講座 客員講師
JIADS ペリオインプラントアドバンス講師
アメリカ歯周病学会(AAP)
日本歯周病学 専門医
日本臨床歯周病学会 認定医・指導医、歯周インプラント指導医
日本口腔インプラント学会
日本顎咬合学会
Osseointegration Study Club of Japan
近年のデンタルインプラントの発展には目を見張るものがある。なかでもGBRやSinus Lift(上顎洞底挙上術)などの骨造成を行うことでその適応症も広がり、しかも力学的にも理想的な位置にインプラントを埋入できるようになってきた。特にSinus Liftは、既存骨の厚みが1mm程度の症例においても20mm以上の垂直的な増大が可能であり、自分自身の症例の20年の予後をみても骨補填材に100%異種骨を用いたSinus Liftにおいて、術後の骨の吸収は殆どなく経過が良好であることを経験している。特に中鼻道自然孔ルート(Ostiomeatal complex )を含め Sinusに病変の無い症例におけるSinus Liftは安全確実な方法である。
一方、垂直的GBRに際しては高度なスキル、材料の選択そしてリモデリング後の骨の安定度など考慮しなければならない要素が沢山ある。現在、それらに関して多くの情報があり、臨床では混乱しているのが現状である。たとえばソーセージテクニックでは合併症は少なくても術後のリモデリングによる骨吸収が多い、チタンメッシュを併用すると合併症は多いが術後の骨吸収が少ない、自家骨:異種骨の比率50:50が一倍良い、Growth Factorは必要等、に関して多くの情報が錯綜している。これらの情報を整理するためには、まずは基本的な事を理解する必要がある。すなわち、骨造成における大原則として骨が充分成熟するためには、①動かない環境と②軟組織の迷入のない環境、の2点が満たされる必要があり、この条件をいかに合併症が少ない状況で達成することが出来るか?が骨造成の成否の鍵となる。
骨の動かない環境という観点からSinus Liftの予後は良いことは理解できる。また垂直的なGBRではBone Enhancing Cover Screw (BECS)に代表されるインプラント体に固定したチタンメッシュのような骨が動かない環境が大事である。軟組織の迷入のない環境という点からすると、チタンメッシュの露出を防止が大切である。そのためには、歯肉の厚さが大切であり、歯肉のもともと薄い部位にチタンメッシュは禁忌であり、また減張切開で歯肉を薄くしすぎることも禁忌となる。そのために、Upward Motion Scissors Technique (UMST)により骨膜だけの減張切開を行い歯肉の厚さをコントロールすることが大切である。さらにバリアメンブレンも軟組織の迷入がない環境に必要となるが、メンブレンは骨膜からのGrowth Factorを造成骨に作用する際に障害となるという点ではその応用に工夫が必要となる。今回、インプラント治療における骨造成について 私の今までの臨床例を通して上記の情報を整理し皆様と一緒に考えたい